チロルでチロルチョコを食べてみたい。チロルチョコをこよなく愛する人間にとって、死ぬまでにおこないたいテーマの一つだろう。チロルチョコ株式会社も同社ホームページで命名理由を「アルプス山脈を臨むその地域で暮らす人々の素朴さも含め、チロル地方のようにさわやかなイメージを持ったお菓子でありたいと、『チロルチョコ』と名付けられました」とうたっているし、「チロル地方へ旅行の際にはチロルチョコをポケットに忍ばせて、さわやかな空気とともに味わってみてくださいね」と書かれている。 これは行くべきではないのか。サウジアラビアのメッカを目指すイスラム教徒のように、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラを旅するキリスト教徒のように、そしてヒマラヤのカイラス山を五体投地して周回するチベット仏教徒のように、チロル巡礼はやらねばならないことのような気がする。信心とは時に恐ろしいもので、我に返った頃にはチロル行きの手