このところ、ライトノベルの歴史の中で最も重要な作品はなんだったんだろう、と考えることがある。 真っ先に銀英伝を挙げる人もいるだろう。 ためらいなくロードスだという人もいるだろう。 スレイヤーズで決まりだと断言する人もいるだろう。 それでもけっきょくこの結論にたどり着く。 ブギーポップ以外にあり得ない、と。 思うにブギーポップの(というか上遠野浩平の)歴史的に重要な特徴のひとつは、 技術的にかなり隙だらけだったことじゃないだろうか。正直、上遠野浩平の文章はお世辞にもうまいとはいえないし。 「笑わない」を読んで、何人かの志ある若者は、「すげえ!」と打ちのめされつつも、 「もっとこう、こんな文章で、こんなキャラで、俺も書きたい!」なんて思ったんじゃないだろうか。 そういう若者の数はたぶん、銀英伝を読んで「俺はこれを超えるスペオペ戦記を書く!」なんて思った気骨ある人間よりはるかに多かったはずだ。