2009/07/30 19:53:05最終更新2015/08/29 02:07:35サイズ33.95KBページ数1閲覧数1389評価数51/186POINT11370Rate12.19分類タグアリマリ乙女魔理沙と我儘姫アリス百合 1. 黄金のひるひなかが終わって、一日がはや追憶に変わる、夕方。 私はいつもみたいに本を読んでいた。 あいつに借りた魔法書だ。長い時間の流れを閉じ込めたような分厚い本だった。 すえたカビの匂いがしていた。それに混じって、沈丁花の香り。 それで私はあいつを思い出したんだ。 あいつを乗せて飛んだ月の夜に、そんな香りがしたから。 「魔理沙ー、魔理沙。いるかしら」 どーんどーん、と、ノックの音。 ………思い出した途端にコレだった。 なんであいつは私の名前をいちいち呼びたがるんだろう。 あの月の夜にしたってそうで、注意を引くものがあるたびに私を呼んで