梶井基次郎(1901~32)の小説「檸檬(れもん)」で、主人公の「私」がレモンを購入した京都市中京区・寺町二条の果物店「八百卯(やおう)」が創業130年の歴史に幕を下ろした。 かつては店頭に小説との関係を紹介するパネルが飾られ、多くの文学ファンが訪問。ところが25日に突然、閉店の張り紙が掲出された。昨秋の経営者の急死が契機らしい。 「私」がレモンを置いた「丸善」河原町店も05年10月に閉店。神戸から来た女性(52)は「若いころ読んだ思い出の小説。残念です」と甘酸っぱい思いにかられていた。【古屋敷尚子】