電車内で最近、小さな液晶画面をせわしなく指先でなぞる人たちの姿が目につく。新しい携帯ゲーム機でも出たのかと思ったら、スマートフォンだった。 アナログ世代の筆者(44)にとって、携帯電話の操作は、数字のキーを直接押すものとばかり思っていたが、画面にかすかにタッチするだけとは。ボタンを押す指先の感触がない分、どこか不安だ。 「iPhone」(アイフォーン)、「iPad」(アイパッド)と言われても、どんな違いがあるのか。前者は名刺サイズの携帯電話、後者は電子書籍が読めるA4判ほどの大きさのパソコンというぐらいしか区別がつかない。 「2千年前のことには関心があっても、現代にはとんと疎い」。古代遺跡の取材を担当している筆者は、同僚からしばしばそう冷やかされる。時代に取り残されてはいけないとも思うが、あえて「古代史の立場」から、デジタル社会にもの申したい。 飛鳥時代や奈良時代の遺跡の調査では、しばしば