3.5%が日本の自然失業率とされ、失業率がこれを下回ると賃金上昇が加速し、物価上昇も加速していくと言われてきた。失業率が示す労働需給関係で、需給が引き締まれば賃金上昇が起こる市場の「見えざる手」の効果である。 しかし、失業率は既に3%まで低下をしているが、賃金上昇は始まってはいても、加速しているとは言えない。 企業貯蓄は、異常な状態が続く これは、労働需給が引き締まっても、家計に回ってくる富が存在しなければ、賃金上昇は強くならないことを意味している。日本経済の大きな問題は、マイナスであるべき企業貯蓄率が恒常的なプラスの異常な状態が継続している。企業のデレバレッジや弱いリスクテイク力、そしてリストラが、総需要を破壊する力となり、内需低迷とデフレの長期化の原因になっていることだと考えられる。 そして、恒常的なプラスとなっている企業貯蓄率に対して、マイナス(赤字)である財政収支が相殺している程度