菅内閣は、改革の一つに「携帯電話料金の値下げ」を挙げている。菅義偉氏の、ある種の悲願といえる政策だが、遡(さかのぼ)ってみれば、自民党は10年間ずっとこの話を繰り返しており、「自民党という政党が国民から支持を得るための一つの武器」になっている点は否(いな)めない。 筆者を含め多くのIT・通信業界関係者は、政府による「携帯電話料金値下げ論」に異議を唱え続けている。どうにも問題が多い、と思うからだ。 だが、それが本当に「多くの人に伝わっているのか」というと、そうでないように思う。 「携帯電話料金が下がることは良いこと。なぜ専門記者は皆、そこに反対するのか。業界側の肩を持ちすぎではないか」 そんなふうにいわれることもあるし、友人のライターがSNSで「あなたは抵抗勢力なのか」といわれるのも目にしている。 いや、そうではないのだ。 個人としては、携帯電話料金が下がるのはありがたい。筆者も仕事柄複数の