先日ゴシック体の平仮名が普通に使はれ始めたのはいつごろかを調べてみようと思った出発点は、『朝倉漢字講座(3)現代の漢字』(2003/平成15年、朝倉書店、ISBN4-254-51533-2)の第6章「漢字のデザイン」(味岡伸太郎)に、次のやうな記述があるのを見たことにありました。 本文組用のタイプフェイスは「空気のように水のように存在を意識させないこと」を目標としてデザインされてきた。しかし,存在を意識させる文字は本当に美しくなかったのか,そして読みにくかったのか。 漢字と仮名をはじめとする複雑で不統一な言語を選択すること,それは実は日本人の文字に対する素晴らしい感性の現れとは考えられないだろうか。一見不統一に見えるのだが,微妙なバランスで調和を創り出している。言葉を変えれば不完全な美,アンバランスの美,不均一の美,奇数の美,そして微妙にずれる調和,それらは全て,古い茶人が「わび」と呼んで