« 楷書と明朝体(1) | Main | 『諸橋轍次博士と大漢和辞典』展 » 2007年01月30日 …【明朝体の様式】 楷書と明朝体(2) 楷書は四次元の世界を二次元で表現する 明朝体は楷書を,そのルーツとする。それにもかかわらず文字を構成するエレメントについて必ずしも一対一に対応させることはできないことを「巾」の例で示した。しかし両書の違いはこれに留まるものではない。他の例については,別途あらためて紹介していきたい。 ここでは,もう少し本質的な視点で両書を比較しておくことにする。 楷書の「楷」は模範になる正しい法(のり)のこととされており,したがって楷書という書体は自ずから「正しい模範になる書」という意味を備えていることになる。一点一画をも疎かにしないという様式なのである。顔元孫が『干禄字書』を著したころには楷書の様式はしっかり定まっている。 しかし楷書は膠着化した書ではない。書