十数年ぶりに復活した『木島日記』最新作「もどき開口」。9月末には『木島日記』旧作2作の文庫改訂版が刊行され、三部作の一つ『八雲百怪』のコミックス3巻、4巻も年内に刊行されます。何故、今、「偽史三部作」が再び動き出したのか――著者の大塚英志氏に話をうかがいました。 現実の中にフェイクヒストリーが侵入してきて、その区別が曖昧になっている時代に ── : 大塚さんご自身が代表作と言われている『偽史三部作』シリーズの『木島日記』の小説版の三作目、『木島日記 もどき開口』が発売されました。 大塚: そもそも、虚構の歴史である「偽史」が現実の歴史の中に侵入してきて、日本が戦争に向かっていくという昭和初頭の時代を背景に、この『偽史三部作』シリーズの舞台は設定されています。そして、今、改めて考えると「偽史」と「歴史」、あるいは「虚構」と「現実」の関係が、気がつくとぼくが小説を書き始めた時よりもずっと揺らい