高さ十数メートルのクレーンにつるされた巨大な星条旗の下を、200台を超す大型のオートバイが駆け抜けた。9月末、米中西部ミズーリ州カンザスシティーの公園。サングラスと革ジャンに身を固めたライダーたちを、星条旗を手にした人々が迎えた。 帰還兵とその家族らがオートバイで集結すると、「癒やしの壁」と車体に書かれた大型トレーラーが登場。荷台の扉が開かれ、ベトナム戦争の写真や兵士の手紙などの展示が現れた。ベトナムで戦った米兵たちをたたえる内容だ。 「ベトナムからの帰還兵は社会に温かく迎えられなかった。イラクやアフガニスタンの帰還兵に同じ思いはさせたくない」。ホンダの大型バイクで駆けつけたアマンダ・チェリーハウスさん(43)は言った。 アマンダさんの夫ジムさん(41)は米軍に勤務し、アフガンとイラクに派遣された。目に見えないゲリラ攻撃を恐れ、血を流す現地の子を目のあたりにして、心を病んだ。帰還後、