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辞めるタイミングを逸した代償が非常に大きいことを、兵庫県の斎藤元彦知事はいまだ理解していないかもしれない。兵庫県議会の自民党、公明党、ひょうご県民連合、日本共産党の4会派および無所属議員は9月12日、斎藤知事に辞職を申し入れた。 県議会の「解散」もちらつかせはじめた だが斎藤知事はそれを頑なに拒否している。それどころか、「(19日に始まる9月議会で)しっかりと補正予算、県民生活を支えるための予算を100億円用意させていただこうと思っていますから、それをしっかり審議いただいて成立することも大事です」と、補正予算を“人質”にするかのような発言を行った。 さらに「不信任案が提出・可決されれば、私としては法律にのっとってさまざまな選択肢がありますので、それをしっかり考えていくということです」と、議会の解散をもちらつかせた。 斎藤知事はその前日、記者団に対して「こういう状況になったことは申し訳ないな
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まだ国民共通の理解が欠ける公的年金 ──日本の公的年金保険のこれまでと現状をどのように評価するか。 まず、公的年金という制度が何をやっているのかについて共通の理解が必要だ。 その年に生み出された付加価値(財・サービス)を、所得という形で、継続的に収入の途絶している人に渡して、彼らの財・サービス消費を支えるのが年金だ。年金受給者の財・サービスの取り分を増やすためには、同じ時間を生きるそれ以外の人たちの取り分を減らす必要がある。こうしたゼロ・サム問題を扱う領域は、経済学の中では、分配、再分配問題と呼ばれ、プラス・サムの関係を築く余地がある領域を生産問題と呼ぶ。 基礎年金の保険料拠出期間を40年から45年にするという制度改革案の話も、その年に生み出された付加価値のうち、基礎年金の取り分を40分の45(1.125倍)倍に増やすという分配の話だ。 いま現役期の人もいずれは高齢期に入り年金受給者になる
メディアは、よく「若者の恋愛離れ・結婚離れ」などと言います。昨今の婚姻数の減少および婚姻数の減少に伴う出生数の減少は、まるで若者の価値観が変遷したことが原因かのように言う有識者もいます。まるで、こうなったのは「若者の自己責任」であったかのように。しかし、それらはまったくの見当はずれの解釈です。 確かに、出生動向基本調査が経年で調査している若者の「一生結婚しない」という割合は年々増えています。同調査の報告書では、18~34歳を集計したものとなっていますが、それを20~39歳で再集計しても同様です。20~39歳としたのは、こちらの過去記事(参照→恋愛結婚の人は大概25歳で出会っている残酷現実)で解説したように、未婚男女の「恋愛結婚による結婚限界年齢」は男性40.0歳、女性37.6歳であることから、対象年齢を39歳まで拡大するためです。 「若者の結婚離れ」は本当なのか? 具体的に見ると、「一生結
この約30年間で日本の半導体メーカーはかつての強さを失い、過半を握っていた世界シェアを10%程度へと大きく落としたが、日本の半導体製造装置メーカーは30%前後のシェアを維持し続けており、高い競争力を保っている。 売上高ランキングのトップ10に東京エレクトロン、アドバンテスト、SCREEN、KOKUSAI ELECTRICの4社が名を連ね、そのすぐ下にも日立ハイテク、ニコン、キヤノンらがおり、「日本製の半導体製造装置がなければ半導体を製造できない」といっても過言ではない。 各工程で際立つ日本企業の活躍 半導体の製造では、基材となるシリコンウエハーに電子回路を作り込んでチップを作製するプロセスを「前工程」と呼ぶ。ロジックやメモリーなど作製するチップの種類によって異なるが、半導体の前工程ではチップが完成するまでにおおよそ700の工程を踏む。 半導体製造プロセスは、フォトマスクを介して回路パターン
「3.5%の人が本気になれば、社会は変えることができる」 そう話すのは、8月に『コモンの「自治」論』(集英社)を上梓した東京大学大学院の斎藤幸平准教授(経済思想が専門)だ。斎藤氏は、東京・明治神宮外苑の再開発に異を唱え、東京都の認可取り消しや事業の執行停止を求める裁判の原告団にも名を連ねている。(インタビュー記事:斎藤幸平「企業に商品化される神宮外苑」の大問題) 「3.5%」というのは、アメリカ・ハーバード大学の政治学者のエリカ・チェノウェスらの理論で、「人口の3.5%を動員して成功しなかった運動はない」という研究のことだ。東京都の人口は1400万人。3.5%の49万人が「本気」になれば、都政を動かすこともできるかもしれない。 三井不動産や明治神宮などの事業者が進める神宮外苑の再開発計画では、現・秩父宮ラグビー場と神宮球場の場所を入れ替えて新しいホテル付きの野球場、屋根付きラグビー場を建設
――提訴の狙いについて教えて下さい。 原告である漁業者や市民は福島第一原発の事故で大変な被害を被った。そのうえに今回の「ALPS処理汚染水」の海洋放出によって、「二重の被害」を受けることになる。しかも今回の被害は国や東電の故意によるもので、新たな加害行為だ。訴状では「二重の加害による権利侵害は絶対に容認できないとの怒りを持って提訴する」と書いた。 国は、ALPS処理汚染水を薄めて基準値以下にすれば海に流してもいいと主張しているが、間違った考え方だ。そもそも危険性のあるものは環境から隔離しておくことが安全対策の基本だ。そうした間違った行為を何としてでもやめさせたいと考えて、差し止め訴訟に踏み切った。 第2次提訴で原告の数は大幅増へ ――提訴までのいきさつは。 私は東電の刑事裁判や株主代表訴訟、福島県飯舘村の集団ADRなどを通じ、福島の方々とたくさんの縁がある。政府が方針を決定した2年ほど前か
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バービー人形をもとにした実写映画『バービー(Barbie)』のアメリカ版公式SNSアカウントが、原子爆弾(原爆)に好意的と受け止められかねない投稿を行い、日本国内から非難の声が相次いでいる。 国内の反応を受けて、すぐさま日本法人が謝罪。この対応は比較的まっとうなものだったものの、その後、アメリカ本社の謝罪は優れているとは言えないものだった。結果、不買運動ならぬ「不観賞運動」は止まらない。 ネットメディア編集者として、10年以上にわたって、SNSでの「炎上」や「延焼」を見てきた経験からすると、今回の事案は「欧米人の原爆軽視」に加えて、「日本の炎上メカニズム」を本社が理解していなかったことが原因だとみている。 そこで本稿では、今回の騒動を時系列に沿って説明しつつ、解説していきたい。 問題となった投稿は削除されたが… まずは、今回の騒動について、振り返ってみよう。 『バービー』はアメリカ国内で、
ダイエットの経験のある方は少なくないだろう。だが、成功する人はごく僅かだ。一時的に体重が減っても、たいていはリバウンドし(ストレスでヤケ食いする人は多い)、そこで諦めるか、次々にダイエットのハシゴをすることになる。ダイエットに王道はないのだろうか? 今、世界的に大流行しているのが、薬を使った「GLP-1ダイエット」だ。だが日本では、批判も多い。薬によるダイエットは本当に“科学的見地からみて悪い方法”なのか? 世界の流れを踏まえ、解説する。 「糖尿病の薬」として開発されたGLP-1作動薬 「GLP-1ダイエット」は、医師の処方するGLP-1作動薬によって食欲をコントロールする減量法だ。 GLP-1作動薬は、もともとは糖尿病の薬として開発された。使用するうちに強い体重減少効果がわかってきて、今では肥満治療薬としての有効性が認められ、世界で広く使われている。 この薬で治療している方によると、「我
2023年5月、コロナが感染症法の5類に移行されると同時に海外からの入国制限も撤廃され、観光業界ではインバウンドによる景気の促進が大きく期待されていると聞く。中国をはじめとするアジア各国からの観光客が主力なのだろうが、欧州の人々の間でも海外旅行地としての日本人気はとどまるところを知らない。 実際、イタリアに暮らす私の周りでも、「ようやく日本に行けて嬉しい!」と声をかけてくる友人、知人がとても多い。コロナ前からそういう人たちはもちろんいたのだが、今は待ってました!とばかりに友人たちは興奮気味。それに加えて、ちょっとすれ違っただけのような人まで私が日本人とみると、声をかけてくる。先日も病院で看護師さんたちが「私の息子は8月に日本へ行くチケットを予約したのよ!」「あら、私も行きたいけど、どこの代理店がいいかな?」と私に話しかけるでもなく盛り上がっていた。 日本の8月は暑くて気の毒だなあ、と思いな
6月8日、参議院法務委員会で出入国管理及び難民認定法改正案が採択され、9日の正式採決に向けた準備が整う中、れいわ新選組の山本太郎代表はたった1人で物理的に採決を阻止しようとする必死の行動に出た。この行動は批判を浴び、処分につながるだろう。 しかし、フランスだったらまったく話が違ったはずだ。難民そのものだけでなく、民主主義社会に求められる最低限の良識や透明性をも踏みにじったプロセスに比べれば、山本氏の怒りのデモンストレーションはほぼ罪に値しないからだ。 フランスと日本で大差がある難民受け入れ この3年間の難民をめぐる議論は、日本がいかに世界からかけ離れているかを示している。2022年まで、日本は1117人の難民を認定し、5049人に人道的地位を与えている。一方、フランスこの間、は55万5665人を保護している。 フランスが2022年の9日間で受け入れた難民の数は、日本が40年間に受け入れた難
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