ミツバチの激減や、漁獲量の低下が新聞を賑わしている。ホントのところ何が起こっているのだろうか。どちらも、ハチや魚の気まぐれではなく、人為のせいだ。東京オリンピックのために築地市場が移設される。世界最高の市場「築地」も失われる。 ◇ ◇ ◇ 『ハチはなぜ大量死したのか』 ローワン・ジェイコブセン著 中里京子訳 福岡伸一解説 文藝春秋社刊 1905円(税別) 最初に異変に気づいたのは米ペンシルベニア州の養蜂家デイブ・ハッケンバーグだった。養蜂家はミツバチの餌を求めて放浪する。日本でもアカシアの花が咲けば東北へ、レンゲの花が咲けば九州へ。花から花へと放浪するのが養蜂家の宿命だ。 ハッケンバーグは、ペンシルベニアの冬はミツバチの越冬には寒すぎるとして、南部フロリダに巣箱を移していた。彼がミツバチの異変に気づいたのは今からおよそ3年前、2006年11月12日の夕刻のことだった。 ハッケンバー