「時代」と「地理」を押さえる 「乱世、ここに極まれり―」 NHK大河ドラマ『真田丸』の幕開けは、戦国の世も大詰めの1582年(天正10年)。上杉謙信と武田信玄はすでに世を去り、その息子たちがしのぎを削った時代である。 そんな中、信州の弱小豪族「国衆(詳しくは後述)」にすぎない真田家が、いかに大名たちと渡り合い、たくましく生き抜くのか。本作の醍醐味は、まさにここにある。 同年は、戦国最大の激動の年だ。まず、真田家が長年仕えた武田家が滅亡。主君を失った真田家は、意を決して織田家につくが、今度は「本能寺の変」で信長が落命してしまう。 真田家が地盤としてきた「小県」のある信州は、上の地図でも分かる通り、四方を名だたる列強に囲まれている。後ろ盾を失えば、いつ誰が襲いかかってくるか分からない。真田家の強みは何だったのか。 ひとつは、惣領・昌幸(草刈正雄)の「謀略力」だ。昌幸は織田の懐に飛び込むにあたり