ことし10月5日で、亡くなってから10年になるスティーブ・ジョブズ。 マッキントッシュ・コンピューターからiPhoneまで、IT分野のフロントランナーとして世界を変えたジョブズは、禅や和食などの日本文化に深い関心を持っていた。 そして、時折、家族と古都の京都を訪れていた。 ジョブズに京都はどう映っていたのか。その素顔に接した人たちを取材した。 (国際放送局 World News部記者 佐伯健太郎)
1964年の東京五輪の開会式を見て、当時の国内の著名作家たちは、さまざまな文章をつづり、記録し、表現した。そして2021年の東京五輪は―。作家の中村文則さん(43)に、23日夜の開会式を見た後で、寄稿してもらった。 なかむら・ふみのり 作家。1977年、愛知県生まれ。福島大卒。2002年に「銃」で新潮新人賞を受賞しデビュー。05年、「土の中の子供」で芥川賞。20年、中日文化賞。主な著書に「掏摸(スリ)」(大江健三郎賞)「教団X」「逃亡者」など。東京都在住。
1 いまは2021年7月である。 いま、喫緊の課題は未来である。 未来とは、新型コロナウィルスの国民へのワクチン接種が完了した後のことを指している。 2 私はこの文章を2021年7月4日の夜に書いている。 いま、日本でもワクチン接種が着々と進みつつある。ワクチン供給の遅れや不均衡など数々の問題はあるが、コロナ禍はここ100年間における未曾有のパンデミックなのだから、誰にも完璧な対策などできようはずがない。世界は、そして日本政府は、そして日本の人々は、最大限の努力をし、最善に近い対応を続けてきている。その一つが迅速なワクチン接種だ。日本のワクチン接種は世界に比べて遅れたものの、今年中のどこかの時点で完了するであろう(注1)。だがそれは真のコロナ対策の第一歩にすぎない。ワクチンは感染対策の万能の切り札には決してなり得ない。すでにずっと以前からワクチンがあるインフルエンザでも、毎年世界で数十万人
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