欧州連合(EU)の欧州委員会は昨年、インターネットに拡散した個人情報の削除を本人が求められる「忘れられる権利」を提唱した。EUは本人から要請を受けたサイト管理者に削除義務化を求める方向で議論しているが、表現の自由や知る権利と衝突しかねないとして、米国を中心に慎重な対応を求める声も上がっている。ネット上の情報削除手続きに詳しい神田知宏弁護士と、海外の個人情報保護制度に詳しい筑波大の石井夏生利准教授に見解を聞いた。(三品貴志) ■神田知宏氏「ネット時代の枠組みを」 −−日本でも忘れられる権利新設に向けた議論を進めるべきか 「日本の現行法でも個人情報の削除は求められるが、課題も多く、ネット時代の新たなプライバシー権を議論する必要があるだろう。ネットを使えば今や誰もが他人のプライバシーや人格権を侵害する可能性があり、ネット時代の新たな枠組みが必要だ」 −−ネットに拡散した個人情報をめぐって