「いらっしゃいませ」 のれんをくぐって引き戸を開けると明るい声が掛かるのは、1923(大正12)年創業の「㐂寿司(きずし)」。4代目店主・油井一浩さんら職人が来店客を迎えます。 カウンターの寿司店に慣れない客がまず迷うのは、ネタの選び方や注文の順番。高い店ほどルールが厳しい、そんなイメージはどうしても強い。 しかし油井さんは、「どうぞ好きなものを好きなように召し上がってください」と笑います。客が食べたいものを自由に食べてこそ、満足のいく時間が過ごせるというもの。それに、決まりきった“おまかせ”ばかりでは握る方も実は「つまらない」のだそう。