最も大きな相違点は、資力調査の有無と支給対象です。まず資力調査ですが、負の所得税は計算の前提となる正確な稼得所得の把握が絶対的に必要となり、そのため支給時期は事後になります。一方のベーシック・インカムにおいては無条件支給なのでこうした調査は不要で、支給時期は事前でも可能です。 また、支給対象は負の所得税は家族や世帯単位であるのに対し、ベーシック・インカムは子どもも含めた個人が対象となります。ベーシック・インカムが伝統的な家族の解体を促す懸念があるといわれるのはこのためです。 なお、負の所得税は経済学の巨魁ミルトン・フリードマンが強く推進した政策です。自由主義経済学者が負の所得税を推すのは意外に思うかもしれませんが、この政策は、企業に課される最低賃金制度を廃すことで労働需給を市場均衡点にまで下げられることと、負の所得税という最低給付金を低所得者に保証することによって人々が望む方法で自由