漫画が日本の重要な輸出産業となって久しい。経済産業省のデータによると2016年の海外市場規模は11億2900万米ドル(注1)。日本・海外両市場で中心的存在となっているのは、劇場版アニメの公開で社会現象化した『鬼滅の刃』(コミックス累計1億2000万部)など作者の熱がこめられた、上質な少年漫画の大ヒット作であることは間違いない。 だが、日本漫画を世界的なビジネスとして成り立たせているのは、それら大ヒット作だけではない。ある漫画編集者は、こう言い切った。「海面に飛び出した大ヒット作の下に、多種多様な作品が作る“豊かな海”がある。だから日本の漫画には力がある」。その多様さを示す一例として初版部数を挙げると、前述の『鬼滅の刃』が300万部を超える一方で、初版1万部以下の作品(注2)も数多く出版され続けている。数千人単位の読者に向けてもきめ細かな出版が行われているということであり、それがビジネスとし
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