昨年9月にメジャー通算2000安打を記録した時と同様、今回もリリーフ投手らによる万歳三唱は、ブルペンコーチを務めるジョン・ウィッテランドの音頭によるものだった。 その瞬間、イチローの緊張が緩む。 「ちょっとほっとしました」 先日(9月18日、現地時間)、日米通算3500安打を打ったとき、イチローは低迷するチームの中で個人記録が注目されることを拒んだ。 「2年前のことがトラウマになっちゃって、あれ以降、僕の中では何を喜んでいいのか、ちょっと分からなくなった」 しかしこの日は、打った瞬間にダッグアウトの選手全員が立ち上がって、拍手を送る。回が終わって守備に就けば、ライトのブルペンにいた投手らが万歳で祝った。 イチローは一人ごちた。 「喜んでもいいんだ……」 ■感情を出すことへの恐れ 2年前、一部のチームメートから、「チームの勝利よりも記録を優先する自分勝手な選手だ」と決めつけられ