2024年7月は、今後のウクライナ情勢に大きな影響を与える政治的出来事が相次いだ。ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟は「不可逆的」と初めて表明したNATO首脳会議。そしてアメリカ大統領選で共和党候補のトランプ氏への暗殺未遂だ。 トランプ氏は「ゼレンスキー政権に対し、早期和平に向けロシアへの譲歩を押し付けるのではないか」との見方も出ている。また、バイデン大統領の再選出馬断念と、ハリス副大統領の出馬表明もあった。2024年11月の大統領選では、アメリカのウクライナ政策も大きな争点になる。こうした劇的展開を受け、今後のウクライナ情勢の焦点を探った。 8月以降、ウクライナが仕掛ける勝負 「これから必要なのは戦場でのモメンタム(弾み)だ」。2024年7月末、キーウの軍事筋はこう語った。NATOサミットの結果を外交的成果と総括するゼレンスキー政権は8月以降、新たな軍事的勝負に出る構えだ。最大