カメキチの目 私は「老いて」とか「歳とって」とよく書くが、それは事実、自分が老人と呼ばれる年齢であるからだ。 老人だと自覚しているからだ。 いくら気もちのうえでは若いつもりでも、「つもり」である。 でも、背筋はのばしていたい。 好きな現代作家に南木佳士さんという人がいます。 歳がいっしょで、モノゴトへの感じ方に共感をおぼえることが多い(いちおう小説という虚構を描いても、多くの題材は自分の実体験をもとにしており、長く生きておれば「そういうことあるなー」「私もそう感じるなぁ」)。 老いた今は、その「老い」の視点から過去をふり返り、あるいは今現在の心境を表したエッセイを書かれている。 最近、『急な青空』というエッセイ集の本を読んだ。 その一つに「五十年」というのがある。 【引用】「…そもそも、人生というなにかがあるわけではなく、降っては湧き、前に立ちはだかったり後から突き飛ばしてきたりする出来事