吾妻ひでお氏は、知る人ぞ知るギャグマンガ家である。 1969年にデビューしたあと、『やけくそ天使』、『不条理日記』などで注目を集めるが、80年代半ばから作品の発表が減り始め、89年と92年に仕事を放棄して長期間失踪してしまう。その後、アルコール依存症で精神病院への入院も経験するが、自身の失踪経験、アルコール依存症経験をギャグ仕立てに描いた『失踪日記』が2005年にベストセラーとなり、多くの賞も受賞する。 本書は、『失踪日記』の熱がまだ冷めやらぬ2006年9月から09年11月号まで雑誌に連載された「失踪入門」に加筆修正したものである。 往年のギャグマンガ家のベストセラー人気に当てこんだ企画は、吾妻マンガのファンを連れてきて吾妻氏に人生の教えを請おうというもの。言っちゃあ悪いが、2匹目のどじょうを狙った、安直な企画だ。 師匠も真っ青の弟子が入門 第1回の対談でも、「栄えある失踪入門者第一号に名