「ブレーキペダルとアクセルペダルが左右に並んでいる。私に言わせれば、あんなばかな構造はあり得ない」。本日発売の『不具合連鎖』で、「安全学」の伝道師である明治大学理工学部情報学科教授の向殿政男氏が語った言葉である。 正論である。間違えないようにするなら、場所をもっと離すか、「踏む」だけでなく「引っ張る」「ひねる」のように操作の仕方を変えるというのが人間工学の基本である。 しかし、今回トヨタ自動車が巻きこまれた一連の不具合、それに対する世間の反応を見ていると、基本に従った正しい設計などできない気がしてくる。長い間慣れ親しんだ感覚からかけ離れたものを作れば、たちまちバッシングに会う。 6年前にも違和感バッシングについて書いたことがある。違和感にあまり神経質になると、クルマの進歩を止めてしまうと考えたからだ。 このときは左右の駆動力を配分する装置と、CVT(無段変速機)を例に出した。向殿氏はアクセ