相次ぐネットバンキングの不正送金事件に対し、警察当局は専門の捜査班を設けるなど態勢強化を進めているが、摘発できたのは現金の引き出し役にとどまり、被害拡大に歯止めがかかっていない。 警察庁によると、平成25年のネットバンキングの不正送金による被害は1315件、被害総額は約14億円に上る。今回、被害が確認された約250件は約2割にあたる。 警視庁幹部は「国内最大級のグループが関与し、荒稼ぎしている可能性がある」と指摘する。 一連の事件では被害口座と送金先口座が県境をまたぐことが多いため、警視庁は不正送金事件専従の捜査班も設置。昨年7月、他の道府県警と情報共有する特別対処班も設けた。 だが、不正送金は中国など海外サーバーを経由することが多く、警察は現金の引き出し役ぐらいしか摘発できていないのが現状。引き出し役の供述から指南役を特定しても、大半が不正送金後間もなく海外に逃亡しているという。 警察庁