水木しげる、最後のインタビュー 「生死について、人間について、自分が抱えていた疑問に答えてくれたのは、ゲーテの言葉だった」 昨年11月30日に亡くなった漫画家・水木しげる。太平洋戦争真っ只中の10代の頃から93年の生涯にわたり、水木氏の思想の"背骨"となったのは、ドイツの文豪・ゲーテの言葉だという。奇しくも遺作となってしまった新著『ゲゲゲのゲーテ』(双葉新書)のテーマもまた、その名言の数々だった。 今回、現代ビジネスでは、昨年10月中旬に収録された生前最後のインタビューを同書より抜粋、特別に公開する。「生と死」「幸福」「仕事」など、ゲーテの言葉に託した、水木氏の最後のメッセージに耳を傾けたいーー。(聞き手・構成/左古文男) 水木 手に取ったのは十代の終わり頃です。よく読んだのは、二十代、三十代。それ以降は、あまり読んでない。二十歳に近づき、戦争もきびしくなってきて、いつ召集になるかもしれな
「大企業は人を育てる余裕があって研修制度も整ってるから、最初は大企業に入ったほうが成長できる」とか、未だに寝ぼけたことを言ってる人がいて驚く。 20年前の話ならわかるけど、「大企業のほうが成長できる」なんて、今や完全にウソだよね。 「大企業のほうが、周りの人が優秀だ(から成長できる)」って? それも 20年前の話、親が若かった頃の話じゃない? 「いきなり起業」や「海外就職」はもちろん、日本で就職する場合でも、ベンチャーとか外資系企業とか NPOあたりで働いたほうが、最初の 3年間の成長は明らかに早いはず。 てか、倍とか以上のレベルで差が付くってことくらい、両方を知ってる人には火を見るより明らかですよ。 少なくとも「大企業に入ることができる人」が持ってる選択肢の中では、「大企業」はおそらく、最も成長スピードが遅い選択肢だと思う。 大企業ってのは「成長スピードは遅いけど、他にいいところもあるか
大学でプロジェクト・マネジメントを週1回教えていることは前にも書いたが、授業は毎回必ず、前回の復習と、学生から出た質問への答えからはじめることにしている。出席シートに質問欄を設けて、そこに気になったことへの質問をかいてもらうのだ。むろん授業でも最後に「質問は?」ときくのだが、だいたいの学生はなぜかその場では質問せずに、紙に書いてくる。 いろいろ出た質問の中から、いつも「本日のBest Question」を選出し、その質問者の名前を明示してほめることにしている。良い質問を考えることは、単に回答を考えるよりも、ずっと価値があるからだ。一般に、マネジメントの問題には正解がない。正解がない中で、自分で考えて決めていかなくてはならない。これは、たくさんの正解を覚えてどれだけ早く答えるかを競ってきた東大みたいなところでは、とくに大切だ。 さて、「マネジメントとは何か」という授業をやった後で、面白い質問
今学期のレポート採点が終わった。「現代教育思想」という小難しいタイトルの授業だけれど、学生の意見はみな素直でかわいらしい。それでも、100人近くのレポートを読んでいると、中には思わずハッとするものもある。今年はこんなのがあった。 「生きる力」は、「自ら学び、考え、主体的に判断し、行動する」力となっているが、現在の教育は、「みんなで学び、考え、みんなで判断し、行動する」ことを促している。 これには唸った。恐ろしく的を射ている。 前者の「自ら・・・」というのは、教育関係者なら誰でも知っている呪文のようなもので、日本人に足りない力、今後ますます必要になるとされる力である。日本の教育がこれを目指していることは、教育関係者の共通認識だといってもよい。もちろん、この「自ら」というのは本来、一人でという意味ではなく、自発的に、自主的に、というニュアンスである。 一方で「みんなで・・・」というのも、協調性
Japan is a nation described by stasis, lethargy, and fatalism … along with a pleasant lifestyle. Credit: Tokyo commuters via Filipe Frazao / Shutterstock.com As Japan prepares to host the G-7 Summit this year, stasis, lethargy, and fatalism, along with a pleasant lifestyle, best describe the archipelago in 2016. The cabinet wants to stabilize the population from the current 125 million to 100 mill
※この記事は銃・病原菌・鉄の概要を書いたものですので、詳しいことは実際に本を買って読んでいただけると良いかと思います。名著ですので、人生で一度読んでおくことをお勧めします。 文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫) 作者:ジャレド・ダイアモンド草思社Amazon文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫) 作者:ジャレド・ダイアモンド草思社Amazon はじめに なんで、スペイン人のピサロは圧倒的に少ない人数でインカ帝国を征服できたんだろう。 それはスペイン人が、銃と鉄、そして何よりアメリカ大陸にはない病原菌とそれに対する耐性を持っていたからですよ。 じゃあ、なんで、スペイン人はそれを持っていたの?銃と、鉄を発明できたの?病気に対する耐性を持っていたの? ヨーロッパ人はインカ帝国の人より、人種的に勤勉だったり病気に強か
鳥人間コンテストは今年でなんと39回目の大会を向かえる。これほどの長寿番組になるには、運営する側にも参加する側にも共に何か世代を魅力があるに違いない。そしてその魅力は・・・大会会場に来てみないと味わえない非日常なのである。 「びっくり日本新記録」というタイトルでスタートした初期の大会をご存じの方は、欽ちゃん仮装大賞ばりのコミックエントリー部門の無謀なダイブに爆笑していた印象が強いかもしれないが、この部門は10回大会から姿を消し、その後はメーカーのベテランエンジニアによる企業常連チームを中心として結構ストイックに?!記録を競う本気の大会にシフトしていった。 そして自分達が初出場した1994年の18回大会も人力プロペラ機部門ができて9回目になり、トップチームによって毎年飛行距離が更新され・・・大会当初からの夢であった琵琶湖を横断が実現が期待されるなど、まさに番組的にも参加者的にもエキサイティン
これって「横領」!? 接待費で合コンする社員の言い訳。 営業社員が接待交際費を使って、取引先の担当者と合コンをしていました。本人は営業活動の一環と言い張っていますが、私的な活動にしか見えません。「横領」に当たりますか? まず合コンが横領にあたるかを判断する場合、 貴社の「業務の範囲内となり得るか」が基準となります。 具体的には、 ●事前に会社の指示があったか ●事前に会社の承認を得ていたか ●合コンを開催することに、合理的な理由があるか ●費用対効果が業務に影響あるものとして認められるか が挙げられます。 ご質問のケースでは、事前に会社の指示、承認が ありませんので、合理的な理由や費用対効果が認められるかが 判断基準になります。 類似の前例や社内規程なども含め、総合的に判断したうえで、 「業務の範囲内/外」の判断をしてください。 しかし、もし業務外と判断された場合でも、 ご質問のように、た
リーンスタートアップや、ビジネスモデルキャンバスが効果的なのは、むしろ必要なこと以外に時間やお金をかけないことにあると思っています。例えば、製品をつくる前にたくさんインタビューをするのは、作ってしまってから不満の声を聞いて対処する時間を省いてくれます。また、単純な試作品やMVPをお客さんに試してもらうことで10個の機能に散らばった1000個のバグを1つの機能の100個のバグへと絞ってくれるんです。最初から複雑なシステムをデバッグしようとすると、機能間の依存関係を紐解いて原因分析をしないといけないので、かかる労力は10倍ではすみません。部分的に機能や顧客の反応を検証すると全体の労力が減らせるのは、余計なノイズをカットしているためで、つくり込みに必要なエネルギーは変わらないように感じます。 スタートアップに向いたさまざまな手法を取り入れても結果が出ていないように感じるようでしたら、余計な作業が
『イノベーションのジレンマ』で知られるクレイトン・クリステンセン教授が来日講演で語ったのは3つの理論だった。その3つの理論とは「破壊的イノベーション理論」、「Job-to-be-done(ジョブ)理論」そして「資本家のジレンマ」についてである。資本家のジレンマと成長の理論は、教授が近年もっとも研究を進めた領域で、国家の経済政策に直結する内容だが、実は企業経営や個人レベルにも応用できる考え方だ。 企業の成長を阻害するイノベーションがある 企業の成長につながらないイノベーションも存在する。 日本の家電メーカーや半導体メーカーが「技術革新」という名の下、性能や容量を競っていたにもかかわらず、業界全体が疲弊したことは記憶に新しい。実は私がいたハードディスクの業界も同じ構造になっていたことはクリステンセン教授が『イノベーションのジレンマ』で書いたとおりだ。業界が若いころは活況で、毎年激しい開発競争が
『イノベーションのジレンマ』で知られるクレイトン・クリステンセン教授が来日講演で語ったのは3つの理論だった。その3つの理論とは「破壊的イノベーション理論」、「job-to-be-done(ジョブ)理論」そして「資本家のジレンマ」についてである。その中でも、ジョブは顧客が何を価値あるものととらえるかを理解するうえで非常に重要な理論となっており、『バリュー・プロポジション・デザイン』(翔泳社)にも取り上げられるなど、シリコンバレーの起業家にとっても人気のツールである。ジョブを使った価値創造の手法を教授の講演内容と交えてご紹介したい。 無駄な顧客データは取らなくて良い―「顧客中心」から「顧客のジョブ中心」へ マーケティング調査をする際、顧客の年齢や性別、住所、収入などをつぶさにデータ収集しがちだ。しかし、「私が63歳、男性で身長が203cmであるということと、アイスクリームを買ったということの間
『イノベーションのジレンマ』で知られるクレイトン・クリステンセン教授が来日講演で語ったのは3つの理論だった。その理論とは「破壊的イノベーション理論」、「Jobs-to-be-done(ジョブ)理論」そして「資本家のジレンマ」についてである。起業した経験を持つクリステンセン氏は、経営理論は「活用されるため」に存在すると断言し、自身の理論をもっと役立つものへと進化させてきた。この記事では「破壊的イノベーション理論」を中心に、意義と活用方法をなるべく簡単に紹介しよう。 「経営理論」は何のためにあるのか? 「破壊的イノベーションは最近誤用が多い」と、クリステンセン教授は言う。なぜ彼は警鐘を鳴らすのだろうか。1995年に教授がこの言葉を導入したことを考えれば、多用されるほど概念が普及し、彼の理論が世の中に受け入れられたことは嘆くようなことではないはずなのだが…。 先日の講演では、3,000人もの熱気
第二次世界大戦時のCIAの秘密資料。題してSimple Sabotage Field Manual。要は、敵国内のスパイが、組織の生産性を落とすためにどのような「サボり」ができるか、という「サボり方ガイド」である。2008年に公開された。(なお、正確に言うと、CIAの前身組織、Office of Strategic Servicesの作成文書である。) 以下、一部を抜粋した意訳です。本文は意訳の後に。 「注意深さ」を促す。スピーディーに物事を進めると先々問題が発生するので賢明な判断をすべき、と「道理をわきまえた人」の振りをする 可能な限り案件は委員会で検討。委員会はなるべく大きくすることとする。最低でも5人以上 何事も指揮命令系統を厳格に守る。意思決定を早めるための「抜け道」を決して許さない 会社内での組織的位置付けにこだわる。これからしようとすることが、本当にその組織の権限内なのか、より
津田 真吾(ツダ シンゴ) INDEE Japan 代表取締役テクニカルディレクター 日本アイ・ビー・エムなどを経て、イノベーションに特化したINDEE Japanを設立。HDDの開発エンジニア時代に「イノベーションのジレンマ」に触れ、イノベーションの道を歩みつづけることを決意する。その著者であるクレイトン・クリステンセン設立の米国Innosightと提携するなど、グローバルなネットワークを築きつつ、大手企業のイノベーションコンサルティング、ハンズオン事業開発に加え、スタートアップへの投資・育成を手掛ける。書籍には『「ジョブ理論 完全理解読本」』の執筆の他、『ジョブ理論』の監修、『巻き込む力』の翻訳などがある。 INDEE Japan コーポレート・ホームページはこちら。
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