多くのITベンダーが「このままでよいのか」と疑問を感じつつも、長く続けてきた商慣行がいくつかある。その代表例は、SIにおいて人月(1人の技術者が1カ月に行う作業量)単位で見積もった工数をベースに、料金を算出する“人月商売”だろう。 この人月商売は、ITベンダーにとってはある意味、楽な商売である。労働集約型産業の典型であるSIビジネスでは、技術者の人件費(正確には労務費)と下請けベンダーへの外注費が原価の大半を占める。もちろん、その外注費も下請けベンダーにとっては技術者の人件費である。結局のところ人月ベースの料金は、ITベンダーからすると積み上げた原価に儲け分を上乗せした金額である。受注しさえすれば自動的に儲かるわけだ。 もちろん事はそんなに単純ではない。想定を超える工数がかかり、赤字に陥るのはよくあることだ。だが、ITベンダーが「このままでよいのか」と思うのは、そのためではない。ITベンダ
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