S-217622は北海道大学と塩野義の共同研究から創製された経口の低分子薬だ。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はウイルスを増殖する際に3CLプロテアーゼを利用するが、S-217622が3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制すると考えられている。 塩野義製薬はS-217622の第2a相試験で、軽症、中等症および無症候のSARS-CoV-2感染者にS-217622を5日間反復投与して抗ウイルス効果を検討した。また、同試験の開始から28日目まで、フォローアップ期間として被験者の観察を続けた。被験者69例からPCR検査で陰性だった22例を除き、残りの47例をITT(Intention To Treat)集団とした。そして47例を、(1)プラセボ群17例、(2)S-217622の低用量群16例、(3)S-217622の高用量群14例──の3群に分けた。