石灰石鉱山での発破の様子や都市建築などインダストリアルな撮影対象と美しいイメージで知られる写真家・畠山直哉。彼の講演や講義をまとめた待望の著作『話す写真 見えないものに向かって』を、さやわか氏に読み解いていただきました。 この本は写真家の畠山直哉が、あちこちで行なった講演をまとめたものだ。つまり写真芸術についての本だと言っていい。しかしそのような短い説明は、この本の持つ射程をあまりに狭く見積もることになる。たしかにこの本は写真家が自身の仕事や写真術の歴史について語った本になっているが、しかしそれだけのものとして語るには、彼の言葉にはあまりに深い含蓄が込められている。 畠山は、石灰石鉱山での発破の様子や都市建築、地下水路など、インダストリアルな意匠を多く撮影している写真家だ。それらの撮影対象は、むろん、写真に撮られることで芸術として見られることを想定していないものである。そういうものをなぜ芸