→紀伊國屋書店で購入 「現代社会が待望する医療史研究、ようやく現る!」 以前当ブログで取り上げたアーサー・フランク『傷ついた物語の語り手』(2006年6月)について、「回復の物語(the restitution narrative)」が私たちにとって基本的な概念であることを述べました。ここでの「回復(restitution)」は「すっかり元通り」という意味ですが、私たちの社会は、発達した医療によってあらゆる病いが「回復(restitution)」に導かれることへの期待が高まってきた社会だといえます。このことを「病院」(そして、とりわけ「医師」)という観点からはっきりと物語る研究がこの本です。 著者の猪飼周平さんは、現在一橋大学大学院(社会学研究科)の准教授を務めておられますが、彼が東京大学大学院(経済学研究科)在籍中、いわばお隣にあたる人文社会系研究科に所属していた私と研究仲間による「ミク