米津玄師は、いま10代20代から熱い支持を受けているミュージシャンだ。2009年にボーカロイドを使った楽曲をニコニコ動画に投稿し始め、2012年から自身の声で歌った楽曲を発表するようになり、翌年メジャーデビューを果たす。インターネットから登場しながらそこにとどまらない。常に「美しいものを作ろうとしてきた」という彼の音楽はなぜ若者の心を引きつけるのか。(音楽ジャーナリスト・柴那典/Yahoo!ニュース 特集編集部)
にゃんこスターなるお笑いグループがキング・オブ・コントに出場し、優勝こそできなかったものの注目を集めたようです(参考記事)。私も、たまたま今朝の「スッキリ!」で見ましたが、面白いかどうかは別として(笑)勢いはあると思いました。 さて、「にゃんこスター」という名前から青森の黒石市のドラムを叩くゆるキャラ「にゃんごすたー」を思い出した人も多いでしょう。実際、検索エンジンで「にゃんこスター」で検索すると「にゃんごすたー」優先で検索されてしまったりします。両者を間違える人はたぶんいないと思うのですが、注意すべき点は「にゃんごすたー」は今年の6月に商標登録(第5953045号)されているという点です(権利者は「中の人」だと思われますが、ここでは触れないでおきます)。 「にゃんごすたー」の商標登録の指定商品はタオル類や被服類なので、現時点で「にゃんこスター」の芸能活動に商標権の観点から影響が出ることは
コミケの受難とひとつの"うわさ" 世界最大規模の同人誌即売会、コミックマーケット(通称コミケ)が今夏も開催されました。92回目を迎えた今回は、3日の開催期間中にのべ3万2千のサークル(団体)が参加、50万人が来場し、会場の東京ビッグサイトは大盛況でした。 現在、第一線で活躍する漫画家・小説家の中にも、コミケで同人活動していた作家は多く、まさにクリエイターのゆりかごのような存在と言えるでしょう。 そんなコミケにも、受難の時代がありました。1988年から1989年にかけて日本を騒がせた幼女連続誘拐殺人事件で宮崎勤元死刑囚(2008年執行)が1989年に逮捕され、元死刑囚が収集していた本やビデオが山積みの部屋が報じられると、宮崎の"オタク"という属性に世間の注目が集まりました。そして、宮崎が過去にコミケにサークル参加していたため、報道直後に開かれたコミックマーケット36には、メディアが取材に殺到
以前取材した性暴力関連のイベントで、登壇者が「痴漢防止のためのポスターは『痴漢は病気です。犯罪者になる前に病院へ行こう』という内容ではどうか」と提案したことがあった。アルコール依存症やギャンブル依存症と同じように、「痴漢するスリルがやめられない」人が実際に存在する。性犯罪の加害者治療にあたる精神科医から「『痴漢は犯罪です』というポスターを見ても、痴漢加害者は『自分は優しく触っているから痴漢じゃない』と思い込んでいる」と聞いたことが、この提案の背景にあった。(詳細はこちらの記事) 痴漢は依存症であり、病気。だから再犯防止ための治療が必要であると言われる。一方で、性被害の現場を知る人からは「病気と見なされれば免罪されてしまうことになるのでは。それが怖い」という声もある。 今年8月に刊行された『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)は、痴漢や強姦など性犯罪の加害者臨床に携わってきた精神保健福祉
「食べない人は、一切食べようとしない。水が入ることも拒否する人がいるんですよ。食べるけど、その後に吐く人もいます。食べない人に『食べなさい』と言っても、食べない。そのままにしておくと弱ってしまう。本当に困っています」 そう語るのは、栃木刑務所統括矯正処遇官の野田雅子看守長だ。栃木刑務所は、日本で最大規模の女子刑務所。摂食障害受刑者の数も、最も多い。 栃木刑務所 全国の女子刑務所では現在、拒食や過食を繰り返す摂食障害の患者の数が増えている。その現状や背景などを4回にわたって伝えるシリーズ2回目の本稿では、症状の重い患者の状況とその対応に当たる刑務官や医師らの悩みについて伝えたい(参考:シリーズ1回目の記事)。 「認知の歪み」とこだわり 野田によると、摂食障害の受刑者に、自分の状態を認識させるところから、刑務官たちの苦労は始まる。 摂食障害受刑者の対応について語る野口雅子看守長 摂食障害患者の
2017年8月12日に生じたシャーロッツビルにおける衝突は、白人至上主義の問題が改めて世界的に注目される一件となりました。他方この事件をきっかけに、ネットでは白人至上主義者とその批判者の間で、個人の名前や住所などを特定してネットに晒す「doxing=晒し」と呼ばれる行為が問題となっています。度々生じるdoxingはエスカレートしており、クラウドファンディングという形で特定者に報奨金が支払われる事態にまでなっています。 白人至上主義への批判 今回の一件で高まった白人至上主義への批判を受けて、彼らの姿が確認できる写真からdoxing(晒し)が行われ、多くの白人至上主義者の身元が特定されています。白人至上主義と特定されたある男性は、勤めていたカリフォルニア州のホットドッグ店を自発的に辞職しました(解雇されたとの報道もありますが、ワシントン・ポストの取材では自発的退職とホットドッグ店は答えています
コンビニエンスストアで万引きした疑いで逮捕された、女子マラソン元日本代表選手の原裕美子さんが、現役時代から摂食障害を患っていたことが分かった。万引きは、摂食障害にしばしば伴う問題行動として知られており、専門医は「摂食障害患者の万引きの多くは、症状の1つ」と指摘している。 「体重が減ったら調子がよく……」 私(江川)は22日、勾留先の警察署で、原さんと面会。その際、原さんは京セラに在籍していた時に、摂食障害を発症していたことを明かした。 ストレスからの過食。体重制限もあり、体を重くしないために嘔吐するようになったのがきっかけだった。 名古屋国際女子マラソン優勝、世界陸上6位入賞、大阪国際女子マラソン優勝など、赫々たる成績は、実は過食嘔吐の摂食障害を抱えながらのものだった。 「摂食障害による万引きの典型」と専門医今回の事件現場となったコンビニ。 今回の事件現場は、自宅から車で30分くらいの通り
毎日大量に廃棄されているコンビニのおにぎりやお弁当。全国のコンビニで、一日あたり384〜604トンの食品が廃棄されているとみられている。スーパーマーケットや個人の商店では、売れ残って廃棄となる前に値段を下げて販売(見切り販売)しているのをよく見かけるが、コンビニで目にすることはあまりない。なぜ見切り販売しないのか?2014年に最高裁で本部による見切り販売の妨害は「違法」とする判決が確定したが、本部は見切り販売について、どのように考え指導しているのだろうか。今回、大手コンビニチェーン店のオーナー3人が、実態を証言した。 ▼3人のオーナーが実態を証言今回、取材に応じてくれたのは、西日本でコンビニエンスストアを営むPさん、Qさん、Rさんの3人。フランチャイズ契約を結び、加盟店となっている。 Rさんはこう語る。「どうして見切り販売をする店が増えないと思いますか?仲間のコンビニオーナーによると、担当
2017年4月に始まった『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』(テレビ朝日系)が話題になっている。7月2日にはゴールデンタイムに2時間半のスペシャル番組として放送され、NHKの大河ドラマ、日本テレビの『世界の果てまでイッテQ!』、民放各局の「都議選開票特番」といった強力な裏番組がひしめく中で、9.6%という高い視聴率をマークした(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。 特に、同じように海外ロケが中心の内容で、毎回20%前後の視聴率を叩き出している『イッテQ』を向こうに回して、この数字を記録したのは快挙と言ってもいい。あの日、快勝したのは小池百合子都知事率いる「都民ファーストの会」だけではなかった。『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』も、テレビ界の新興勢力として歴史的な大躍進を果たしていたのだ。 人気の原動力となっているのは、「部族アース」という企画に出演している友寄隆英ディレクター(通
スノーボーダー・國母和宏について、7年前のバンクーバー五輪での騒動で記憶が止まっていたとしたら、あまりにももったいない。彼はいまや欧米でスターとして扱われているのだから。闘う相手は他のボーダーではない、自然の野山だ。雪山の山頂からノーヘルメットで一気に滑り降りる。バックカントリー、フリーライディングと呼ばれる世界である。オフシーズンに家族とともにくつろぐ國母が哲学を語った。 (ライター・中村計/Yahoo!ニュース 特集編集部)
5月29日、東京・霞が関の司法クラブで、28歳の詩織さん(家族の意向から名字は非公表)が記者会見を行った。ジャーナリスト・山口敬之氏からの準強姦被害を訴え、これが不起訴となったことを、検察審査会に不服申し立てするものだった。 彼女の勇気に拍手を送りたい。また、これまで性暴力取材を行ってきた者として、また一連の報道前から詩織さんに話を聞いていた者として、書いておきたいことがある。(※この原稿は彼女に掲載許可をもらっている) 山口氏が安倍政権と距離が近いジャーナリストであり、不起訴に“忖度”があったのではないかという疑惑があることで、会見には大きな注目が集まった。忖度があったのか否かが、大きな関心の一つなのだろう。しかし、この会見にはもう一つ、大きな意味がある。 彼女が、知人(顔見知り)からの被害の告発者であるという点だ。現在、ジャーナリストとして国内外で取材を行う詩織さんは、2015年3月、
今年3月、日本アカデミー賞授賞式に森山未來の姿があった。映画「怒り」の演技で優秀助演男優賞を受賞。さかのぼること2カ月前。その姿は舞台の上にあり、変幻自在なダンスパフォーマンスを見せていた。俳優か。ダンサーか。カテゴライズを振り切るように、森山未來は疾走する。 (ノンフィクションライター・歌代幸子/Yahoo!ニュース 特集編集部) 自身が企画したパフォーマンス作品「JUDAS, CHRIST WITH SOY~太宰治『駈込み訴え』より~」の森山未來。2017年1月に横浜赤レンガ倉庫1号館で上演された(撮影:matron、写真提供:横浜赤レンガ倉庫1号館) この1月、森山未來は横浜赤レンガ倉庫1号館の舞台に立っていた。自身が企画・制作するパフォーマンス作品「JUDAS, CHRIST WITH SOY~太宰治『駈込み訴え』より~」。ライトで浮かび上がるのは、たくましい森山の肉体だ。赤ワイン
ファッション月刊誌『KERA』が2017年4月15日発売の6月号をもって休刊、デジタル版への移行が発表された。ムック誌『Gothic&Lolita Bible』も2017年5月24日発売予定号を休止。「昨今の読者ニーズや出版業界の急激な変化を真摯にとらえ、月刊誌としての発行形態の見直しを致します」という(参照)。 最近の『KERA』を見ると、ゴスロリ誌としての枠を超えて少し甘めの要素を入れた、むしろ『LARME』に近いブランド・コーデや、モデルのAKIRAさんや『h.naoto』などが牽引してきたパンク系男前コーデ、増田セバスチャン氏がプロデュースする『6%DOKIDOKI』のテイストを引き継いだ紅林大空さんのポップカラー路線などに分化していて、一時はクラシックなロリータといったイメージだった春奈るなさんのコーデもロリータ要素を残しつつカジュアル化しているという印象があった。『BABY T
『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ最新作『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』でテレサ役を務める女優の神田沙也加。女優としてデビューするも、いったん休業。その後、主戦場を舞台に移すと、ミュージカルで鍛え上げた歌唱力と表現力の高さは演劇業界内でも評判になり、活躍の場は広がっていった。常に現状に満足せず、勝負している印象があった神田だが、30歳を迎え「すごく気持ちが楽になった」と心情を吐露。その胸のうちに迫った。 芸能活動の転機は2つ 本作出演に際して「小さいころから声優になることが夢だったんです」と目を輝かせた神田。ミュージカルに声の仕事など、近年、幅広い活躍が目立つが、自身の芸能活動を振り返り「分かりやすい大きな転機は二つありましたね。一つめは17歳のときに『Into The Woods』(宮本亜門演出)に出演したことと、2014年の『アナと雪の女王』ですね」と語る。 『Into The Woo
Facebookを開けば、子どものお弁当からお気に入りの酒の肴まで、料理の写真がずらりと並ぶ。全国各地では、ご当地食材の食フェスやB級グルメフェアが連日のように組まれている。この空前の「グルメ時代」に、「食べない」生活を選ぶ人たちがいる。なぜ、そんな価値観を選ぶのか。医師や栄養学の専門家はどう見ているのか。「食べない」人々を追った。(ライター・神田桂一/Yahoo!ニュース編集部) 俳優の榎木孝明氏は、地下にある控え室から階段を軽やかな身のこなしで上がってくると、「ようこそいらっしゃいました」と言って、にっこりと微笑んだ。榎木氏は、都内の医療機関で指導を受け、30日間の「不食」を実践しながら、現在出演中の『相棒season15』の撮影所に通っていたことがあるという。不食とは、文字通り、何も食べないこと(毎日の水分補給と場合によっては塩分・糖分をとることもある)。人間はそれほど食べずに活動で
「君の名は。」「怒り」「何者」――。2016年、立て続けに話題作を手がけた映画プロデューサーがいる。川村元気、37歳。「君の名は。」の興行収入が200億円を超えた。11月に上梓した小説『四月になれば彼女は』も発売1カ月足らずで10万部を突破。だが川村は、「はじめから勝算があったわけではない」と言う。川村が考える「ヒットの構造」とは。 (ライター・柴那典/Yahoo!ニュース編集部) ——2016年は、映画プロデューサーとして「君の名は。」「怒り」「何者」という3本の映画を手がけ、川村さんの小説『世界から猫が消えたなら』を原作とした映画も公開されました。それだけでもお忙しいのに、さらに3作目の小説『四月になれば彼女は』を上梓された。一体いつ書いているのだ、と思いました。 映画「君の名は。」「怒り」「何者」はほぼ並行して製作していて、「世界から猫が消えたなら」も原作者として深く関わっていました
都内某所の貸しスタジオに40組にのぼる若手お笑い芸人たちが集まった。 既にネタ番組常連の若手有望株から、かつてテレビを賑わわせたベテランカルト芸人、さらにまだまだ無名の新人まで多種多様の芸人たちだ。 30年の伝統を誇る「ラ・ママ新人コント大会」のために事前に行われる「ネタ見せ」である。 今回、その「ネタ見せ」を取材させてもらった。 「ラ・ママコント大会」は現在、一本ネタ・準一本ネタ・コーラスラインと芸人のレベルに応じて分けられている。 そのうち、準一本ネタとコーラスラインに出場するメンバーを、この「ネタ見せ」で選抜するのだ。 この日の「ネタ見せ」は14:00から始まり、20:00過ぎまで、ほぼ休憩なしで実に6時間以上続けられた。 「ネタ見せ」を見るのが、コント赤信号のリーダー・渡辺正行である。 渡辺は、「ラ・ママコント大会」を始めた経緯をこう語る。 僕が30歳くらいの時に、周りにいた若手の
「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトでぶつかった「ある疑問」国立情報学研究所(NII)の社会共有知研究センター。 「ロボットは東大に入れるか(東ロボ)」プロジェクトで知られる人工知能(AI)の研究チームが、子どもたちの読解力テストに着手した。 なぜ、AI研究者が「読解力」に関心をもつのか。 そこには、AIの限界を探る研究の過程でぶつかった、ある疑問が関係している。 センター長の数学者・新井紀子さんに話を聞いた。 今日(11月14日)の「東ロボ 2016成果報告会」で冒頭あいさつする新井紀子教授。東ロボプロジェクトは2011年にスタートしたAIは国語が苦手――なぜ、AI研究者が「読解力」に関心を? 東ロボは、問題を解き、正解も出すが、読んで理解しているわけではない。 現段階のAIにとって、文章の意味を理解することは、不可能に近い。 そうすると、特に難しいのが国語と英語だ。 国語では、20
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