現在日本の漫画のほとんどは、フキダシ内に文字を書くことでキャラクターの発言とし、会話を表しています。そこにはいくつかのルールがありますが、その中の一つに、「一コマ内の会話は一往復以内」というものがあります。A・B二人のキャラクターがいるとして、あるコマの中でAが発言をし、それを受けてBが発言をした時、同一コマ内でさらにAが言葉を返すことは原則的にしない、ということです。まあ言葉で説明してもわかりづらいので具体例を挙げると、 (よつばと! 7巻 p36) この右のコマでは、とうちゃんの発言を受けてよつばが返事をし、左のコマではよつばの笑いを受けてとうちゃんが発言をしています。一連のやり取りは会話二往復分ですが、これを一つのコマで描ききらずに一往復ごとに二つのコマで分けている、というのがこのルールの意味するところです。 なぜそうするのかといえば、一コマ内での時間の重層性を破綻させないためです。