1974年 北海道の幸福駅が一大ブームとなり、結婚式を挙げた2人=北海道帯広市幸福町で1974年6月撮影 政治は若者に結婚してもらおうと懸命になっているように見えます。「家族の再建」は意味のある目標なのか。未婚率が増加する今の日本社会で、結婚や家族が果たせる役割は何か。 家族社会学が専門の西野理子・東洋大学教授と考えました。【聞き手・須藤孝】 ◇ ◇ ◇ ――政治が語る「家族」は固定的です。 西野氏 私たちが一般的に家族だと思っている姿は家族社会学では「近代家族」と名付けられているものです。日本では1970年代にピークになったと言われているもので、家族の一つの形にすぎません。 そもそも「家族」という言葉自体、日本にはなかったのです。外来語の翻訳です。 なぜなかったかが大事なことです。氏族のようなつながりはあっても、家族という意味のあるまとまりはなかったのです。 私たちが信じているほど、今の