政権の息がかかり「官邸の守護神」と呼ばれていた一人の検察官の定年を延長するため、40年以上にわたって維持されてきた政府の法解釈を突如、百八十度転換した―。「法の支配」をないがしろにし、法治国家として到底あってはならない重大な事実が先月27日、大阪地裁の判決で認定されました。 ■「黒川氏のため」 2020年1月31日、当時の安倍晋三政権は、東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年延長を閣議決定しました。 当時、検察官の定年は検察庁法で63歳(検事総長は65歳)と定められ、延長の規定はありませんでした。ところが、安倍政権は「国家公務員法が規定する定年延長の制度は検察官には適用されない」とした政府見解を覆し、検察官にも適用できると解釈を変更しました。その上で、当時の菅義偉官房長官に近いとされた黒川氏が同年2月7日に迎える定年を半年延長する閣議決定を行いました。 これは、検察トップである現職の検事総長