広告や書評に載っていた本のタイトルを見て興味を持ったが、多忙な日々の中で、今まで読めていない。年末年始の休みにまとめて読み、フォローしておきたい――。そんな要望に応え、2014年に出版され、話題になった「経済がわかる」新書・文庫をご紹介する。■「資本主義論」「資本主義」そのものを正面から論じる著書の出版が目立ったのが今年の特徴の一つ。水野和夫著『資本主義の終焉と歴史の危機』は代表選手といえる。
ピケティ教授の『21世紀の資本』が話題であり、1月31日に東大で講義を行い、以下のような記事が流れた。 「格差は民主主義の脅威」 ピケティ教授、東大生に語る 日経新聞2015年2月1日 『21世紀の資本』の著者であるパリ経済学校のトマ・ピケティ教授が1月31日、東大で講義し、「不平等、格差の拡大は民主主義を脅威にさらす」と格差問題に警鐘を鳴らした。(略) 経済学者のクズネッツは20世紀半ばのデータを見て、経済が発展すれば格差は縮まると考えた。だが、我々がさらに長期間のデータを集めて調べると、それは単に大恐慌と2度の世界大戦の結果だった。足元で格差は再び拡大している。楽観できる状況ではない。(略) 資産保有者トップ10%が国の資産をどれだけ持っているかを計算すると、現在でも欧米では60~70%に達する。1世紀前に比べれば小さいが、それでも不平等は大きい。20世紀は世界大戦や累進課税の影響で資
最も重要なことをまず指摘しておこう。今日の世界で1930年代が再現されようとしているわけではない。経済大国が意図的に「近隣窮乏化政策」としての通貨安を仕掛けているわけではないし、保護主義が物騒な復活を遂げつつあるわけでもない。 この現状を米国の言葉で表現するなら、「いつも通り、すべてメチャクチャ*1」といったことになるだろう。 しかしこの水面下には、我々が危険を冒して見て見ぬふりをしている流れがある。ドル高が進行し、輸出の伸びが鈍りつつあるのだ。同じことは米国へのリショアリング(製造拠点の国内回帰)にも言える。その進展が広く予想されていたにもかかわらず、実際には生じていないのだ。 米国と競争している国のほとんどは金利を引き下げている最中で、その通貨は対ドルで下落している。もしこの傾向が続けば(恐らく、そうなる)、米国の政界が黙ってはいないだろう。ドル高は一般に言われているほど好ましいことで
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