国内大手物流会社の業績が拡大している。ヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングスと佐川急便を傘下に持つSGホールディングスの2019年3月期通期業績はともに増収増益だった。ヤマトが「人手不足」を理由に近年進めてきた宅配値上げを受け入れる顧客企業が増え、その動きが業界に波及した格好だ。 ヤマトが4月26日に発表した19年3月期通期連結決算は、売上高にあたる営業収益が前の期に比べ5.6%増の1兆6253億1500万円、純利益が同40.9%増の256億8200万円。ドライバーの増員などで人件費が増加したが、それを補って余りあるのが宅配値上げに伴う単価上昇だ。ヤマトによると19年3月期の宅配の平均単価は、今年1月末時点の予想を2円上回る664円で着地したという。 宅配業界最大手のヤマトの動きは他社にも“波及効果”を及ぼす。その1社がSGホールディングスだ。同社の19年3月期の連結営業収益が7.0
地政学リスク分析で知られる畏友イアン・ブレマーが、4月末に米国で新著を出版した。6月中旬には日本でも翻訳版が出版されることとなり、その日本語版解説を頼まれたので、一生懸命原著を読んでいる。 タイトルは、“US vs THEM“。日本語にすると「私たち 対 彼ら」あるいは「俺たち 対 あいつら」という感じだろうか。自分の属するグループとそれ以外を峻別し、対立構造を作り上げることを言う。 イアンは、『自由市場の終焉:国家資本主義とどう闘うか』(2011年、日本経済新聞出版社)で、中国・ロシアを中心とする国家資本主義の台頭を指摘。続けて、『「Gゼロ」後の世界:主導国なき時代の勝者はだれか』(2012年、日本経済新聞出版社)では、経済的には米中二極体制となる世界で、どちらも世界秩序の維持に汗をかかなくなるという「G2」ならぬ「Gゼロ」という不安定な時代の到来を予測していた。どちらのテーマについても
組み合わせでどんどん新製品が出てくる深圳の電気街 写真の折りたたみキーボードも、二つ折りはさまざまな企業が出しているのを見かけるが、便せんのように長辺を四つ折りにするのは他では見たことがないものだ。安直なコピー品が、お互いをコピーし合う間に突然変異を生んで進化する、まるでカンブリア紀の生物を見るような新製品開発が、深圳では行われている。 このスピードはすごいが、優秀な人たちなら安直なコピーから距離をおきそうなものだ。なぜこのような高速の、かつ大半が安直で、たまに大ヒットが生まれるカンブリア紀のような製品開発が可能なのだろう。 その秘密の一つは、深圳独自の知的財産管理システムにある。 深圳で製品のプロトタイプを作る場合、コモディティ化された部品を買うと、関連する知財がついてくる。たとえば「アクションカメラ」「スマートフォン」「タブレット」などは、設計済みのマザーボードが部品として売られていて
橘 玲(たちばな・あきら)氏 作家、59歳。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部を超えるベストセラーになる。2016年の著書『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)は50万部を超え、「新書大賞2017」に選ばれる。昨年11月には女性読者に向けた『専業主婦は2億円損をする』(マガジンハウス)が話題を呼ぶ。近著に『80's エイティーズ』(太田出版)、『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)。 世の中には、老後を見据えた退職時の必要貯蓄残高にまつわる俗説が多く出回っています。誰もが関心を持つのでしょうが、一番大事な視点が欠けています。 そもそもなぜ、仕事を「60歳で卒業」しなければならないのでしょうか。「老後資金は60歳までに貯めないといけない」などというルールはありません。世界に先駆けて超高齢社会に突入した日本では、「定年退職まで頑張って働き、退職金と年金を元
教養がもたらしてくれるものは、「豊かな人生」だと思います。例えば、リベラルアーツと呼ばれる学問群は、「人々の思想や発想を自由にするためのもの」と言われます。さらにその本質を突き詰めると「人に騙されないための技術」でもあるのです。 一例を挙げてみましょう。世の中はグローバル化が進んでいると言いますが、世界の貿易統計を見ると明らかにローカル化が進んでいる。併せて、「ポピュリズム」「保護主義」「人種差別」も台頭している。こうしたことに気づくことが教養であり、「グローバル化が必要だ」と言っている発信源に対して、検証や批判が必要になる。そのためには「1人で学ぶ力」をつけることが大切だと思うのです。 学費が100万円を超すなんてバカバカしい 山口さんの経歴を見ると、広告代理店マンからコンサルタントに転身する際も、独学で得た知識で入社試験に臨んだそうですね。 はい。コンサルタントの経験値ゼロの営業マンが
目黒真司(めぐろ・しんじ)氏 1994年、広島銀行に入行。1996年ポプラ入社。2008年に社長就任。創業者である目黒俊治会長の娘婿にあたる。47歳。 現在のコンビニエンスストア業界をどうご覧になっていますか。 目黒真司氏(以下、目黒):自分も業界に入って20年、ずっと現場を駆けずり回って来ました。社長になってからもそろそろ10年たちますので、業界の流れは理解しているつもりです。やはり大きいのは、大手チェーンの寡占が進んでいる事実です。これは裏返せば、お客にとっての選択肢が減っているということです。 消費者がセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの大手3チェーンしか選べなくなっている、ということですね。 目黒:いえ、我々にとってお客さんというのは、お店に来ていただいて商品を買ってもらう消費者もそうなのですが、店舗運営をしてくださるオーナーさんですね。事業主さんが加盟できるチェーンの選択
全国に1万9887店を展開し、コンビニエンスストアという業態を日本に根付かせた最大手、セブン-イレブン・ジャパン。古屋一樹社長に加盟店に対する支援策についての考え方や、24時間営業、今後の出店計画などについて聞いた。 人手不足など、コンビニ業界の「いま」をどう分析していますか。 古屋一樹社長(以下、古屋):セブンイレブンの看板を掲げれば自動的にお客さんが来てくれるような時代は、もう終わったと考えています。本当に良い店を作らない限り、もうお客は来てくれません。そのためにもチェーン本部と加盟店には、これまで以上の一体感が求められています。とても大事な時期に入ってきたと認識しています。 マラソンと一緒ですよね。マラソンって序盤はみんなわーっと走り出して、誰でもいい走りをします。けれど相手を抜くチャンスが訪れるのは、苦しくなってきてからです。変化の大きい時代こそ踏ん張りどきです。加盟店にも本部社員
当面は「実験」との位置付け ファミマは2016年9月にサークルKサンクスと統合。現在、両ブランドの合計で全国約1万7800店を展開している。ファミマはこのうち深夜帯の来客が少ない数店舗で、深夜から未明にかけての営業をやめる。当面は「実験」という位置付けだ。 コンビニ業界では最大手のセブン-イレブン・ジャパンが1974年に国内1号店を開業。75年には24時間営業を開始し、少しずつ全国へと広げてきた。ファミマも80年代前半には大半の店舗が24時間営業に切り替わっている。現在では鉄道駅構内やオフィスビル内を除いた約95%が24時間営業店だ。 続きを読む 本部は「まんじゅう1個でも売れれば黒字」 ファミリーレストランなど他業界では数年前から、24時間営業を見直す動きが広がっている。深夜帯はアルバイトやパートが集まりにくく、人件費もかさむため、各社業績の重しとなってきたのが理由だ。 一方、コンビニ業
スタジアムでサッカーを見る楽しさの半分以上は、サッカーそのものとは別のところにある。 観戦の醍醐味について述べるなら、ディフェンスラインの駆け引きや、サイドチェンジのパスの軌跡が、スタジアムの座席からでないと真価の見えにくい技巧である一方で、ドリブル突破の際の細かいステップワークや密集の中での選手同士のボディコンタクトの詳細は、テレビ画面を通してでないと把握できない。それゆえ、競技としてのサッカーの全貌をあますところなく堪能するためには、スタジアムでゲームをひと通り見た後に、帰宅後、あらためて録画を確認する必要がある。 ただ、競技としてのサッカーを観戦することとは別に、スタジアムには、「共同性」の魔法がある。 別の言い方で言えば、大勢の人間と同じ場所で同じ偶発事件を注視する共同体験の一回性が、半ば群棲動物であるわれわれを陶酔させるということだ。 同じプレーに歓声をあげ、得点に跳び上がり、パ
記者の仕事を長年やっていると、迷ったときや、何か新しい事態に直面したとき、意見を聞くことのできる相手を見つけておくことがいかに大切かがわかる。期待しているのは、専門領域外のことでも、自分のやっていることに照らして何らかの見解を示してくれることだ。ときとして、そういう意見のほうが当事者の声より参考になったりする。 有機農家の久松達央さんも筆者にとってそうした「ご意見番」の1人だ。農業の世界では有名な人なので簡単に説明すると、1998年に脱サラし、99年に茨城県土浦市で就農した。複数のスタッフを抱えて株式会社の形で農場を経営し、野菜を消費者に宅配し、レストランに直売している。 今回、改めて久松さんにインタビューしたのは、植物工場のことが念頭にあったからだ。最近、植物工場の可能性と限界について取材してきたが、制度的な課題として浮かびあがったのが、「コンクリートを敷いたら農地として認めない」という
衰える足腰、量が増える失禁、度重なるトイレでの排便の失敗――老衰とアルツハイマー病の両方の進行により、2016年の秋の母は弱り、ますます介護に手間がかかるようになっていった。 10月に入ると、これらに加えて過食(「介護体制が整ったと思うや、病状が進行…」)も再発した。 いつも午後6時頃に夕食を出すようにしていたのだが、少しでも遅れると台所をあさり、買い置きの冷凍食品を散らかすのだ。「お腹が空いてお腹が空いて、いてもたってもいられない。御飯を作ってくれないあんたが悪い」――食欲は原始的かつ根源的な欲求ということなのだろう。何度言っても、懇願しても怒っても止まらなかった。 自分が壊れる時は、必ず前兆がある。 今回の場合、前兆は、「目の前であれこれやらかす母を殴ることができれば、さぞかし爽快な気分になるだろう」という想念となって現れた。 理性では絶対にやってはならないことだと分かっている。背中も
【おとう飯(おとうはん)とは】 男性が料理をするにあたっては、知識や技術がなくて自分には作れない、家族のために作る料理は栄養バランスや盛付けなどに気をつかい立派でなければいけない、料理を作ってみたものの家族に不評だったため作るのをやめてしまった等、技術的、心理的ハードルがあると思われます。 そこで、これまで料理をしていない、料理をしたことはあるものの作ることをやめてしまったという男性の料理参画への第一歩として、簡単で手間を掛けず、多少見た目が悪くても美味しい料理を「おとう飯」と命名しました。 “キャンペーン大使”は、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属の石橋尊久さん。 任命式では、「おとう飯エプロン」を着けた加藤勝信女性活躍担当大臣から、石橋さんに「おとう飯エプロン」がプレゼントされ、 「手早く、簡単にできる“おとう飯”として、『鳥もも肉の旨煮』の実演が披露されました」 そうだ(内閣
今年1月から軽井沢に住むことになった。購入した物件は別荘地内にあるが定住目的だ。「軽井沢はサマーリゾート。冬は寒くて住めない」と言う友人達のアドバイスを尻目に1月末に予定通り転居した。実際に住んでみると、軽井沢の冬は素晴らしい。 寒冷地の冬対策 確かに軽井沢の冬は寒く、夜間には氷点下13度になったこともある。しかし、日本にはもっと寒い場所はいくらでもあってそこにも人は住んでいる。軽井沢町には約2万人の人々が暮らし、我が別荘地でも40世帯程度が定住しているらしい。四国生まれで東京が長い筆者は、軽井沢の雪景色に魅了されている。 冬の軽井沢に住むためにまず必要なことは暖房対策。当地における定番はFF式石油ファンヒーター(換気のための排気を、本体に取り付けられた円筒を通じて屋外に送り出す)。普通の石油ストーブと違って室内の空気を汚さず、しかも、費用対効果は一番良さそうだ。しかし、化石燃料(石油)を
(前回→「母に認知症新薬の臨床試験の誘い、そして幻覚」) 2015年4月、じわじわと母のアルツハイマー病の症状は悪化し、自分は過大なストレスで幻覚まで起こす状態だったにも関わらず、私は公的介護保険制度を利用することをまったく考えていなかった。 まったくうかつというほかないが、私は介護保険の分野に老人に対する「公的な」支援制度が存在することを全く意識していなかった。 この原稿を書くに当たって、メールの過去ログを検索したところ、2014年11月の時点で、妹が介護認定を取得する必要性について言及していた。ところが私は、「自分で母を支えるしかない」と、かたくなに思い込んでいた。正確には公的介護制度の存在は意識していたが、母と自分が利用可能な制度であるとは、これっぽっちも思っていなかったのだ。 「そんな馬鹿な」「こんな人が書く原稿を信じていいのか」と言われそうなので、すこし背景を説明させていただく。
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