今なら実現可能? AIに対する過剰な期待に十分応えられなかったこともあり、1980年代後半にエキスパートシステムという言葉は、急激に廃れてしまう。むしろ、エキスパートシステムは普通のシステムの中に取り込まれ、特別にそれをAIの一部として注目することがなくなったとも言える。 身近な例では、乗り換え案内の仕組みや、代筆ソフト、インストール時のウィザードの仕組みなどは、エキスパートシステムの考え方が応用され一般化したものといえる。 ここで、2007年問題に話を戻してみる。果たして、当時エキスパートシステムと呼ばれていた仕組みは、今話題になっている2007問題の解決の手段になり得るのだろうか。1980年代に比べ、コンピュータの性能は飛躍的に向上している。当時であれば難しかった大量な知識ベースも、現状のシステムであれば難なく運用できるであろう。推論エンジン部分の計算処理能力やメモリ空間も、当時の数千