「裁判所は一番法令を順守しなければならないのに」と、障害者雇用の水増しに加担を求められた当時を振り返る藤川延雄さん=さいたま市西区で 中央省庁などが障害者の雇用を水増ししていた問題で、元裁判所事務官の藤川延雄(のぶお)さん(69)=さいたま市西区=が現職時代に「障害者扱い」を上司から依頼されたと証言した。長年にわたり現場での「水増し工作」が横行していた実態の一端を浮き彫りにしている。 (山本哲正、井上靖史) 「ちょっといいですか。藤川さんの視力はいくつですか?」。一九九五年六月十二日の午前中、横浜家裁の経理係長だった藤川延雄さん(69)の隣の席に上司の男性が座り、切り出した。周囲に聞こえないよう、小声だった。 「裸眼で〇・〇いくつか、この眼鏡をかけて〇・四ぐらいです」。藤川さんが答えると、上司は「名前を貸してもらえませんか? 役所は体の不自由な人を何%か雇わなければならない。しかし、当庁(