くだらない思いつきによって常に意識が混濁している。たとえば、ストックホルムの在住の人々はストックホルム症候群のことをどう思っているのかに想いを馳せてしまう。馳せられた人たちもいい迷惑だが、わたしがもし、"I'm come from Stockholm."と言われたら、いちばんに思い出すのはストックホルム症候群のことであり、しかも一般論としてのストックホルム症候群的な心理状況について聞きかじっただけで、籠城中に加害者と被害者が仲良くなってしまう現象であるという程度の認識しかなく、ストックホルムで何が起きたのかを詳しくは知らないし、そもそも事件が起きていないときのストックホルムがどのような都市であるのかもわからない。たとえば、悪質なバイラルメディアで「ストックホルムは、ストックホルム症候群と名付けられた事件が起きていないときは、ストックホルム症候群的な状態に至ることすらないほどの凶悪事件多発都