希少動物の種の保存を目的に、神戸大大学院と各地の水族館が共同でバンドウイルカの人工繁殖の研究に取り組んでいる。野生動物の人工授精はチンパンジーのほか、比較的繁殖研究が進んでいるパンダでの成功例はあるが、まだ精子の採取や人工授精で技術的な課題を多く残している。人になつく習性のあるイルカの場合、マスターベーションの訓練を施すことで「射精→精子の採取」がコンスタントにできるようになるといい、人工繁殖技術の確立が期待されている。 研究を進めているのは、神戸大大学院農学研究科の楠比呂志准教授(50)と、名古屋港水族館(名古屋市)やアドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)、かごしま水族館(鹿児島市)、オキナワマリンリサーチセンター(沖縄県恩納村)。 海外の動物などを主に飼育・展示する動物園に比べ、大半が近海で捕獲できる哺乳類や魚類などを扱う日本の水族館は、飼育している動物が死んだ場合も繁殖のための補充