社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 文芸評論を読むならば作家の書いたものだけでいい、とどこかの対談で谷沢永一が語っていた。谷沢自身は北原武夫や平野謙などに高い評価を与えているが、たとえば彼の書いた三好達治の伊藤整の詩を評したもの、川端康成の文芸評論などの解説を読むと、言わんとしていることが分からなくもない。ただし、その解説自体が、谷沢自身が示した新機軸というか、本人の文学に対する谷沢の評価があり、それを前提に文芸評論がまた評価されている、というやや込み入った事情を押さえておく必要がある。 あるとき、「実証研究における方法は研究の中に埋め込まれるものである」ゼミで工藤章先生が語っていたことがあった。工藤先生は雑談ではそういうヒロイックな言い切り型の言葉を好まれていた。そして、先