「サイバーセキュリティーを組織としてどう高めるか」。多くの日本企業が直面する課題だ。その導き役として最近注目している「教科書」がある。まずは数字で現状をおさらいしよう。 ランサムウエアからの復旧に平均13日かかる 過去3年間に日本企業(従業員500人以上)の56.8%がサイバー攻撃の被害に遭っている――。トレンドマイクロとNPO法人CIO Loungeが2023年11月1日に公表した「サイバー攻撃による法人組織の被害状況調査」の結果だ。被害に遭った企業における過去3年間の累計被害額は平均1億2528万円。1度でもランサムウエア(身代金要求型ウイルス)の被害に遭った企業に限ると累計被害額は平均1億7689万円と5000万円ほど上振れする。 同調査によれば、最も対応コスト(被害に対処するコストと復旧に要したコスト、再発防止に投じたコストの3つの合計)が大きかったサイバー攻撃について、国内拠点が