広告 『ハーレムの闘う本屋 :ルイス・ミショーの生涯』を読んで 神奈川 太郎 私たちは皆、幸福を求めて生きている。幸福を得るために必要なのは、自己の欲求の充足だ。 自己の欲求を満たす道は二つある。 ひとつは、欲求のレベルを下げる道だ。仏教的なアプローチと言えるかも知れない。人間の不幸は膨れ上がっていく欲望を満たせなくなることから生まれるのだから、そもそも欲しないことを目指そうというものだ。 もうひとつは、欲求をあくまでも満たしつづけようとする道だ。これはなかなか険しいアプローチである。なぜなら、ある欲求が満たされると、さらに大きな別の欲求が頭をもたげるからだ。 現代社会に生きる私たちは、特に大人に近づいていくにつれて、前者の道をとることが多くなっていくのではないだろうか。大それた夢や希望など、叶うはずもないのだ。私たち自身のこれまでの在り方が、それを証明している。そうであるならば、身の丈に