前回の投稿で予告したように,simplicial setの持つ様々な帰着原理について紹介しよう. ●米田、余完備、Kan拡張 さて,まず比較的一般性の高い事実から始めよう.simplicial setの圏は前層の圏である.そこで,前層に一般的に成立する次の基本的な定理を復習しよう.
The n-Category Cafeというグループブログがあります。僕はたまに覗いてみるのですがサッパリ分かりません。まれに分かる部分があるとうれしいので、やっぱりたまに覗きます。 さて、The n-Category Cafe のn-categoryって何でしょう? nは任意の非負整数*1を表しているので、0-category, 1-category, 2-category, ... などを総称的にn-categoryと呼んでいます。higher dimensional category, higher category などとも呼ばれます。日本語だと、n-圏、高次元圏、高次圏などでしょうか*2。 一般的な定義は難しい(というか、現状、誰もわかってないようです)ので、2-圏の具体例をひとつ紹介して、n-圏の雰囲気をお伝えしましょう(それ以上の説明は僕には無理ですし)。この分野も用語法が混
命題 $\textbf{C}$ を局所小圏、$X \in \textbf{Ob(C)}$とする。任意の前層 $\mathcal{P}$ に対して、同型: \textrm{Nat}(\textrm{Hom}_{\textbf{C}}(-,X), \mathcal{P}) \cong \mathcal{P}X が成り立つ。 定義 局所小圏 $\forall A, B \in \textbf{Ob(C)}$ について、$\textrm{Hom}_{\textbf{C}}(A, B)$ が集合となるような圏 $\textbf{C}$ を局所小圏と呼ぶ。 HomC(A, B) 圏 $\textbf{C}$ の対象 $A, B \in \textbf{Ob(C)}$ 間の射の全体を $\textrm{Hom}_{\textbf{C}}(A, B)$ で表す。 前層、前層の圏 反変関手 $\textbf
昨日に引き続き、寄せられたご意見についてご紹介していきたい。 ●数学辞典や講義ライブラリのニーズは大きいようだ 様々なご意見を頂いたが、やはり数学に関するフリーライブラリーの需要は非常に高いようだ。WebベースのWiki形式であったり、動画形式であったり、ニーズは多様であると思われるが、これに関しては何かしらの手段で実現が可能であろう。迅速にプロジェクトを立ち上げたい。 どうしてもこれ迄の歴史や経験が本と紙ベースなのでwebベースな数学百科の詳細なもので具体例が沢山コンパクトに(詳細と矛盾しない形で)纏めてあり直ぐ確認できるもの♬ — ʇɥƃıluooɯ ǝıʇɐs 𖥶 (@tsatie) August 12, 2020 各科目の講義動画があれば将来の日本人の資産になると思う。 線型とか群論はいくつかありますがすごく丁寧なのばかりですね。 大学の講義くらいのスピード感でしてくれる動画もあ
圏論勉強会 第4回のHom関手で悲鳴が上がってたので補足してみる。 Hom関手がなんであるかは@9_tiesさんもおっしゃっていたようにひたすら手を動かすしかなくて、圏論を覚えたいのであればしっかりと復習する必要がある部分なのは間違いない。とは言え、効率のよい暗記法を編み出すことは大いに理解の助けにはなるだろう。 Hom関手は個人的には以下のように双関手として覚えている。まず、どこからどこの関手かをしっかり覚える。ドメイン側が反変になるのがポイントだ。 Hom(-, -) : C^op × C → Sets *1 これがどういう関手かだが、ざっくりとC^op×Cの対象(A, B)をHom(A, B)へ、C^op×Cの射(f, g)をHom(f, g)へ移す、と覚えてしまってよい。後は、Hom(A, B)とHom(f, g)がなんなのかわかっていれば、Hom関手の定義をすぐ思い出すことができ
以前から僕はフローチャートが大好きなのですが、最近いくつかの状況証拠がさらに付け加わって、「計算やアルゴリズム記述の切り札はフローチャートだ」と、ますます強く思うようになりました。 フローチャート大好き フローチャートが、地味ながらも*1計算科学(computing science)の中心部分に在り続けたことは、「フローチャート大好き」とカミングアウトした次の記事に書いています。 フローチャートからマゾ・テストまで 謎の一元体エフイチ(F1)の新しい定式化であるシャイ・ハランのF理論では、直和(双積)とテンソル積を持つ圏をベースにするのですが、これはフローチャート研究の第一人者ステファネスク師匠の半環圏(semiringal category)と同じ概念なのでした。不思議な因縁を感じます。 僕がエフイチにハマる打算的理由(と、ステファネスク師匠) コンヌとマニン 僕がエフイチを知ったキッカ
[追記 date="翌日"]絵を入れて、間違いを修正し、少しだけ文言を変えました。[/追記] エフイチ関係で名前を出したことがあるコンヌ(Alain Connes)やマニン(Yuri Manin)が、最近は計算(computation)やアルゴリズムに興味を持っているようです。場の量子論とかファインマン・グラフなんかと一緒に、原始帰納関数とかルンゲクッタ法とかを話題にしている論文があります。なんだかサッパリ分かりませんわ。でも、道具立てに双代数やホップ代数を使うらしいことは読み取れます。 とりあえず双代数の簡単な例を作ってみようとしたのですが、自明ではなく*1線形代数や群論の知識なしで作れる双代数がなかなか見つかりません。集合圏ではなくて、ベキ集合モナドのクライスリ圏、つまり非決定性写像の圏なら小学校レベルの予備知識で双代数が作れます。自然数(0, 1, 2, ...)の足し算以外は何も使
この記事が対象としている読者 コモナドって何となく聞いたことがある人 圏論よく分かんないけど、圏の定義(対象と射と合成と恒等射と……)みたいなことは聞いたことがある人 要するに、モヤモヤしてても問題ないのですけれど、最低限の知識くらいはあった方がいいってことなのですー>ω< また、この記事は深淵なHaskellプログラマのみが書くことを許されると言われるモナドチュートリアルではないのでそういったものを期待されていたら、ごめんなさいなのです>< コモナド(´・ω・`) さて、みなさんはコモナドについてご存知です(・ω・? google:コモナド Haskellで調べると、 こもなど!コモナド!Comonad!! - capriccioso String Creating(Object something){ return My.Expression(something); } という id:
随伴というのは2つの関手の関係のことです. $ F : \mathcal{C} \to \mathcal{D} $, $ G : \mathcal{D} \to \mathcal{C} $があったとき, 随伴$F \dashv G$ とは, 自然同型 $\hom(F\cdot,\cdot) \cong \hom(\cdot,G\cdot)$ のことです(ただしこの同型はhomの左右を同時に固定して, 2変数引数としてみて考えます). 文章で読むより図式を見たほうが早いです. コードにするのも簡単です. class Adjunction f g where leftAd :: (f a -> b) -> (a -> g b) rightAd :: (a -> g b) -> (f a -> b) -- Adjoint laws -- 1. leftAd . rightAd = id -- 2
圏論においてクライスリ圏(クライスリけん、英: Kleisli category)とは、『すべてのスタンダード構成は関手の随伴対から得られるか』という予想に対し、ハインリッヒ・クライスリが解答をするにあたって導入した圏である[1]。 概要[編集] スタンダード構成(standard construction;余モナド)の概念はホモロジー代数の分野では早くから現れていたが、随伴概念の発見に伴い、すべてのモナドは関手の随伴対から得られるのではないかという予想がP.J.Hilton その他によって立てられていた[2]。これに対し二つ解答が寄せられたが、その解答者の一人であるハインリッヒ・クライスリは『Every standard construction is induced by a pair of adjoint functors(1965)』で、 定理 圏 L におけるスタンダード構成 (
数学の解説コラムの目次へ 圏論を学ぶ目的は,HaskellやScalaなどの関数型プログラミング言語をよく理解するため,としてよい。 モナドを実装するために必要という応用がある。 オンラインで圏論を学ぶための教科書: 役に立つ読み物 関数プログラミングと関連が深い とくに,モナドを考えるために圏論が必須! 本格的に学ぶには? オンラインで圏論を学ぶための教科書: 「圏と関手入門」 http://www.math.nagoya-u.ac.jp/~hasim... 100ページ以上あるオンライン入門書 圏論は面白い(1) メタグラフ : tnomuraのブログ 圏論は面白い(3) メタ圏 : tnomuraのブログ(2は存在しない) 圏論は面白い(4) メタ圏(2) モノイド : tnomuraのブログ 圏論は面白い(5) 関手 : tnomuraのブログ 圏論は面白い(6) 自然変換 :
1.米田の補題 圏論の重要な概念のひとつに米田の補題がある。これは次で表される。 \({\mathcal C}\)を圏とした時、任意の\({\mathcal C}\)の対象\(A\)と関手\(F: {\mathcal C} \rightarrow {\bf Sets}\)に対して \({\rm Nat}({\rm Hom}(A,-),F) \cong F(A)\) である。さらに、この同型\(\cong\)は、\(F\)と\(A\)に対して自然である。 2.自然変換 \({\rm Hom}(A,-)\)が関手であることが、前の説明で分かったので、次は、\({\rm Nat}\)と記された自然変換について説明する。米田の補題では、自然変換は\({\rm Nat}({\rm Hom}(A,-),F)\)であらわれ、二つの関手\({\rm Nat}\)と\(F\)は自然変換といっている。 一般に
圏論において、圏がデカルト閉(デカルトへい、英語: cartesian closed)であるとは、大雑把に言えば任意の二つの対象の直積上で定義される射が直積因子の一方で定義される射と自然に同一視できることである。デカルト閉な圏はラムダ計算の自然な設定ができるという点で数理論理学およびプログラミングの理論において特に重要である。デカルト閉圏の概念はモノイド圏に一般化される(モノイド閉圏を参照)。 圏 C がデカルト閉であるとは、以下の三条件 C は終対象を持つ。 C の任意の二対象 X, Y に対し、C はそれらの直積 X × Y を対象に持つ。 C の任意の二対象 Y, Z に対し、C はそれらの冪対象 ZY を対象に持つ。 が全て満たされることをいう。上ふたつの条件は、組み合わせて「C の対象からなる任意の有限族(空でも構わない)に対し、それらの直積対象が C に存在する」という一つの条
前提知識:モナド モナドを理解せずともモナド教を信ずることは出来ますが,理解していればより深く納得できるでしょう. 操作 :: 型 -> 型 は,"型"から"型"へ写す"操作"の存在を表します. モナドの文脈 m が必要とする2つの操作: return :: a -> m a で,値を保ちつつ文脈 m の中に入れ込むことが出来ます. (=<<) :: (a -> m b) -> (m a -> m b) で,「値を文脈に入った別の値へ写す操作」を「文脈に入った値を同じ文脈に入った別の値へ写す操作」に変換します. id :: a -> a は値をそのまま返す操作です. id を =<< で変換して得られる操作 join :: m (m a) -> m a で,二重に文脈に入った値を一重の文脈に入った値に戻すことが出来ます. 文脈の値から生の値を取り出す型 m a -> a を持つ操作は,一般
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