はじめに 『Servoにおける単位系の静的チェック』という記事を読んでから、これを実現する方法がずっと気になっていたのだが、現状、 std::marker::PhantomData についての日本語文献が見当たらないので、メモ書きとして本稿を描いた次第である。 なお、使用したコンパイラのバージョンは rustc 1.10.0 (cfcb716cf 2016-07-03) 。 Phantom Type (幽霊型) について 幽霊型とは、型検査を利用したデザインパターンの一つ。インスタンスの状態を数値や文字列といった実際の値として持つのではなく、型パラメータとして持つことで状態の検査を実行時ではなくコンパイル時に行う。実行時にはこのパラメータが存在しないことから幽霊型と呼ばれる。(2016年9月2日訂正)改めて調べてみたところ、見た目上は現れない制約を付与するところがあたかも幽霊のようであるこ