御伽草子. 第19冊 (一寸法師) - 国立国会図書館デジタルコレクション ※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 【原文】 斯《か》くて鳥羽の津にも着きしかバ、其処許《そこもと》に乗り捨て、都《みやこ》に上り、此処《ここ》や彼処《かしこ》と見る程に、四条五条の有様《ありさま》、心も言葉にも及バれず。 さて、三条の宰相殿《さいしやうどの》と申す人の許《もと》に立ち寄りて、 「物申さん」 と言ひけれバ、宰相殿ハ聞こし召し、 「面白き声」 と聞ゝ、縁の端《はな》へ立ち出て、御覧すれ共、人も無し。 一寸法師、 「斯くて人にも踏み殺されん」 とて、有りつる足駄《あしだ》の下にて、 「物申さん」 と申せバ、 【現代語訳】 こうして一寸法師は鳥羽の津に着いたので、そこらへんにお椀の舟を乗り捨てて、都に上りました。 あちらこちらを見てみると、四条や五条の華やか