攻略編に入る前に,アドレス変換の基本であるNATとIPマスカレードのしくみをじっくりと確認しておこう。NATとIPマスカレードを同一視して語られることもあるが,技術的に見ると少し違う。この準備編では,アドレス変換のカラクリを解き明かし,NATとIPマスカレードの違いを確認していこう。 アドレス変換は,IPアドレスの体系が違うネットワーク同士をつなぐ。そのカラクリは実は単純で,アドレス変換を処理するルーターが送受信パケットのIPアドレスなどを機械的に書き換えるだけである。パケット中でIPアドレスの情報があるのはヘッダー部分だから,ネットワークの境目にあるルーターが,この部分を書き換える。 ただ,ルーターが単にアドレスを書き換えているだけだと,返信されてくるパケットを正しい送信元に転送できない。そこで,ルーターは書き換えた前後のアドレスの対応関係を記録する。この記録する内容の違いが,NATとI