製造業のみならず、国内外を揺るがした神戸製鋼所の品質データ偽装問題。その背後にはどのような問題が潜んでおり、今後どのように解決していけばいいのか。調達・購買の専門家である未来調達研究所取締役の坂口孝則氏に解説してもらった。 以前、私は自動車メーカーの研究所で働いていた。取引先の工場を訪問すると意外に整理されているので、「なかなか5Sがしっかりしていますね」と話すと、「お越しになられるというので、みんなで掃除しました」という。しかも、悪びれるどころか、自慢げですらある。そんなことが1度や2度ならず、何度も見られた。 他にも、こんなやり取りがあった。 私「作業標準書の位置が悪いんじゃないですか?」 取引先「普段はここに置いていないんです。監査があるから、ここに置きました」 私「作業標準書は日本語版と英語版だけですが、あの外国人作業者は読めるんですか?」 取引先「いや、本当は使ってないんです…。