福岡県青少年科学館の昆虫展で展示されたヘラクレスオオカブト。日本のコレクターの間で人気が高い。保全関係者の間では、近縁のサターンオオカブトの個体数が懸念されている。サターンオオカブトも、日本など各国でペット需要が大きい。(PHOTOGRAPH BY THE YOMIURI SHIMBUN/AP IMAGES) 「暗い夜でなければいけません」と、レイナルド・サンブラナさんは言った。「まずメス、次にオスがやってきます。土に潜る前に捕まえるんです」 2019年2月、午前3時。ここは、南米ボリビアの首都ラパスの北東60キロにある町コロイコの近くの森。サンブラナさんは、なたで草木を切り倒すと、できた空き地で小さな発電機を動かした。2本の棒の間に白い布を張り、その後ろに置いた250ワットの電球が輝き始めた。 そして待つ。1時間ほどたったとき、うなる羽音で静寂が破られた。森の中のまばゆい光めがけて、カブ