中学生の頃、小説といえば「講談社ノベルス」しか読んでいなかった。といえば過言になるが、京極夏彦、森博嗣、清涼院流水、乾くるみ、殊能将之、舞城王太郎、西尾維新といった綺羅星たちを輩出した、このレーベルだけは特別だ――そんな「本読み」は、少なくないのではないだろうか。 破天荒な作家たちを生み出した「メフィスト賞」もまた、破天荒な新人賞だ。賞金なし、〆切なし、下読みなし。公募新人賞というよりも持ち込みに近い形態だからこそ、「一作家一ジャンル」とも呼ばれる超個性派を生み出し続けているのだろう。ミステリの枠を超え、日本の現代小説をアップデートし続けてきた同賞の裏側を、岡本淳史さんと都丸尚史さんに聞いた。 下読みなし!全作品、編集部が直接目を通します ――メフィスト賞は開催概要からとてもユニークな賞ですね 岡本:一次選考から編集者が直接目を通して、受賞作を決めています。他の賞だと、最終選考は作家の方に